普遍文法 【フヘンブンポウ】🔗⭐🔉振
普遍文法 【フヘンブンポウ】
universal grammar ; UG
日本語や英語等の個別
言語に関する理論を(個別)
文法とよび,文法一般に関する理論を普遍文法(UG)とよぶ。つまり,UGとは,人間の言語の文法として可能なものは何かに関する仮説である。
言語普遍性とよばれる言語の一般的な特性については,
生成文法以前にもさまざまな研究がなされたが,生成文法研究の特徴の一つは,文法の組織,規則の適用方式,文構造の一般的な原理等,文法の形式に関する普遍性を解明しようとすることである。
UGは,言語習得の理論にとっても重要である。UGは人間の言語の基本設計であり,
言語習得装置(LAD)の中心をなす。人間に生得的なLADは,経験すなわち言語資料を入力にして個別言語の文法を出力とする,下記のような装置と考えられる(Chomsky, N.1968,75)。
図表
子どもは,短期間に大きな個人差もなく,複雑な文法体系を習得する。このように,経験における
刺激の貧困と,経験だけから帰納するとすればきわめて特殊な文法の特性とを考えあわせると,UGは豊かな内部構造を備えていると考えざるをえない。
原理とパラメータの理論による普遍文法のモデルでは,個別文法は中核部(core)と周辺部(periphery)からなると仮定し,周辺部のみが,経験により獲得される個別言語に特有の部分であると考える。一方,文法の中核部にはすべての言語に共通な言語の基本設計として「原理とパラメータ」を仮定し,言語の習得可能性を説明しようとする。
普遍文法の内容が豊かであり,「可能な文法」に対する制限が十分に強ければ,短期間にしかも限定された経験によって,一様な文法を獲得することが可能となる。したがって,UGの内容を詳細に研究することが,言語普遍性を明らかにするのみならず,言語習得の問題を解明することにもなる。
→原理とパラメータの理論 →生成文法 →言語普遍性 →言語習得装置
→vid.文献
◆稲田俊明








心理学辞典 ページ 1922 での【普遍文法 】単語。