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エンカウンター・グループ     【エンカウンターグループ】🔗🔉

エンカウンター・グループ     【エンカウンターグループ】 encounter group  1960年代から70年代前半にかけて,アメリカで自己成長をめざす集中的グループが急速に展開した。エンカウンター・グループは,広義にはこの動向自体や,こうしたグループの総称として用いられる。狭義には,ロジャーズ(Rogers, C. R.1970)のベーシック・エンカウンター・グループ(basic encounter group)をさす。他に,レヴィンとその弟子やNTL(National Training Laboratory)によって発展されたTグループ,感受性訓練などがある。その爆発的な広まりの背景には,当時のアメリカの社会的状況が存在している。それはヴェトナム反戦運動,差別に対する抗議,人生の意味を求めて放浪するヒッピーの出現などである。人々は経済成長と引き換えに失った心理的な共同体感覚や,自分らしくあることを求め,それがグループの発展に力を与えたのである。  グループは非指示的に運営されるものから指示的なものまで多様である。一般に7〜20人程の参加者とファシリテーターとよばれるリーダーで構成され,4,5日間の合宿形態をとる。ファシリテーターは,参加者の心理的安全を保証するとともに,彼らが「今,ここ」で率直に自己開示すること,自らを受容し他者からの受容に気づくこと,頭で考えることよりも体全体でその瞬間を感じること,などを促進する。  これまでの実証的研究は,多くの者が肯定的な内的変化を示し,それが数カ月後にも維持されている一方で,心理的な傷や否定的変化を示す者もいること,ファシリテーターの質とグループの雰囲気が効果を規定する重要な変数であること,などを明らかにしている。  実践としてのグループが抱える問題として,コーチン(Korchin, S. J.1976)は,効果が持続しないこと,誰もに適するわけではないこと,自由な自己表現の肯定が逸脱した行動の肯定と同義になりやすいこと,科学的議論ではなく宗教的情熱で推進されていること,などを指摘し,さらなる成熟を望むと述べている。こうした批判を踏まえながら,「自身の理性と感情をかけて相互理解と信頼へ歩み出す」という基本理念のもとに,現在も実践と研究が続けられている。 →感受性訓練 →グループ・カウンセリング《畠瀬稔1990;村山正治1977,86→vid.文献 ◆越川房子

心理学辞典 ページ 187 でのエンカウンターグループ単語。