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皮膚感覚     【ヒフカンカク】🔗🔉

皮膚感覚     【ヒフカンカク】 cutaneous sensation  アリストテレス以来の五感の一つである触覚を意味するが,皮膚に受容器が分布していることから皮膚感覚とよばれている。フォン・フライ(von Frey, M.1894, 95)は皮膚を刺激することによって生じる四つの感覚の質として温,冷,触,痛をあげた。各感覚の質は皮膚の特定の受容器の興奮からの信号に基づく。彼によると,ルフィニ終末(Ruffini ending)は温覚に対応し,クラウゼ小体(Krause's corpuscle)は冷覚に,マイスナー小体(Meissner corpuscle)は触覚に,自由神経終末(free nerve ending)は痛覚に対応する。今日では,温度受容器(thermoreceptor),機械受容器(mechanoreceptor),痛覚受容器(pain receptor)あるいは侵害受容器(nociceptor)とよばれることが多い。  機械受容器には,SA, SA, FA, FAの4種の単位の存在がマイクロニューログラフィによって明らかにされ,その受容野も決められている。ヴァーリロ(Verrillo, R. T.)と共同研究者(Bolanowski, S. J., Jr. et al.1988)は機械的刺激の振動周波数に対する刺激閾いきの結果から四チャネル・モデルを提出している。これらの研究から,SA(slowly adapting type unit)はメルケル細胞(Merkel's cell),SAはルフィニ終末,FA(fast adapting type unit)はマイスナー小体,FAはパチニ小体(Pacinian corpuscle)であると推定されている。これらは受動触の場合に働く。かゆみなどはいくつかの受容器の興奮によるという考えもある。なお,FA単位をRA単位(rapidly adapting type unit),FA単位をRA単位またはPC単位(Pacinian corpuscle unit)とよぶことがある。  温度受容器には,温受容器と冷受容器がある。温受容器の応答温度範囲は30〜45℃ であり,冷受容器の範囲は10〜35℃ である。これらの受容器は定常状態あるいは温度変化に応答するが,両受容器を区別する基準は動的応答の方向による。つまり,温度が上昇する時には温受容器が,温度が低下する時には冷受容器が興奮する。しかし,これらの受容器は機械的刺激には反応しない。常温では,サルの温受容器は約44℃,冷受容器は約30℃ で最も興奮する。  侵害受容器は組織を傷つける刺激に応答する。その本体は皮膚,皮下組織,筋,関節などに分布する自由神経終末であると考えられているが,適刺激は1種類だけではない。皮膚の侵害受容器には,機械的な侵害刺激にのみ応じるものと,化学的あるいは熱的な侵害刺激に応じるものがあることは知られていたが,近年,両刺激に応答するものも見出されている。 →触覚/圧覚 →温覚 →冷覚 →痛覚 →受容器《大山正ほか1994;Johansson, R. S. & Vallbo, Å. B.1983→vid.文献 ◆和気典二

心理学辞典 ページ 1853 での皮膚感覚     単語。