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反応     【ハンノウ】🔗🔉

反応     【ハンノウ】 response ; reaction[E]; Antwort ; Reaktion[G]; rponse ; raction[F]  刺激に対して有機体が示す活動を反応という。後述するように,反応概念はしだいに拡張してきており,現在では反応は心理学において最も広く使われている用語の一つである。responseを応答,reactionを反応と訳し分ける場合もあるが,両者ともに反応と訳す方が一般的である。また心理検査関係では,responseには項目に対する回答の意味がある。  一般に反応は刺激と対応する用語として使用されているが,これは刺激 = 反応理論(S-R 説)を唱えた行動主義の台頭以降のことである。それ以前は,刺激と対応する用語は感覚反射興奮などであった。パヴロフによる条件反射学は行動主義に多大な影響を与えたが,反射という用語が反射弓による固定的で自動的な意味を含んでいることや,条件づけが生理的な反射に関してだけ認められるのではないことなどから,心理学では条件反射を条件反応とよぶようになった。初期の行動主義では,外部から刺激が与えられた結果生じる観察可能な腺や筋肉の活動をさして反応とよび,反応には必ず外部刺激が存在すると考えていた。たとえ反応を引き起こした刺激が同定できなくても,反応と対応する刺激の存在を仮定した。しかし,スキナーはそのような仮定には無理があると考え,反応を刺激によって解発された反応と自発的に生じた反応に分け,前者をレスポンデント(反応),後者をオペラント(反応)とよんだ。オペラント反応は,有機体が環境に対して行う能動的な働きかけであり,反応の結果生じた環境の変化(後続刺激)が次の反応出現の主因となる。オペラント反応も先行する刺激と何らかの関係があることが多いが,先行刺激は反応を解発するのではなく,反応が生起する機会を提供するだけである。その後心理学において,行動主義が弱まり,認知主義的傾向が強まるとともに,観察可能な活動だけでなく,有機体内部で生じる心的過程も反応として扱われるようになっていった。  現在心理学では,以下のような活動を反応として扱っている。(1)有機体に生じる生理的変化:現在のところ,脳波心拍,呼吸,皮膚電気活動,筋活動,血流量,瞬目瞳孔などにおける変化が対象となっている。これら生理的指標は,刺激によって生じる中枢神経系末梢神経系の変化を直接反映している。(2)有機体が体験する意識的経験:これは感覚や知覚など有機体内部で生起する過程であり,言語や動作など何らかの媒介手段を用いなければ,他者は知ることができない。感覚や知覚の場合には,精神物理学的測定法によって,体験した意識的経験をいくつかの反応カテゴリーに分類し,その反応カテゴリーの出現確率や分布をもとに,刺激に対する感覚や知覚を推測する。(3)有機体が行う応答的行動:刺激に対して有機体が行う有機体自身の運動であり,全身的な運動の場合もあれば,腕や足などの身体の一部による部分的な運動の場合もある。  反応はさまざまな視点から分類することができるが,以下に比較的使用頻度の高い分類を列挙する。レスポンデントとオペラント。外部から観察可能な顕在的反応(explicit response ; overt response)と観察不可能な内潜的反応(implicit response ; covert response)。反応がまとまりをもった一連の要素から構成されている場合に反応全体をさす総体的反応(molar response)と各要素をさす分子的反応(molecular response)。種に特有で先天的な生得的反応(innate response)と経験によって獲得した習得的反応(acquired response)。刺激を享受しようとする順向的反応(adient response)と刺激を回避しようとする背向的反応(abient response)。目標を達成するための一段階である予備(的)反応(preparatory response)と一連の予備(的)反応を経た後の最終的に目標と結びつく完了(的)反応(consummatory response)。これらの用語では,活動内容に応じて反応の代わりに行動(behavior)が使われる。 →刺激 →行動 →反射 →条件づけ →S-R 説 →オペラント行動 →レスポンデント行動《Andreassi, J. L.1980;Bower, G. H. & Hilgard, E. R.1981;Coles, M. G. H. et al.1986;大山正ほか1994;Reynolds, G. S.1975→vid.文献 ◆志堂寺和則

心理学辞典 ページ 1812 での反応     単語。