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判断     【ハンダン】🔗🔉

判断     【ハンダン】 judgment  行動には判断を伴う行動と,伴わない行動とがある。後者の行動には,反射などのレスポンデント行動がある。この種の行動では,呈示された刺激により行動決定機構が働き,行動が決定するので判断が伴わない。判断は,行動に選択が関与し,選択肢の間でいずれか一つの選択肢を決定すること,一般には,複数の選択肢の間で採択の優位性を決定することである。判断には,判断対象の構造の認知が前提となる。 図表  判断には,論理学における「真・偽」判断,正解がある時の「正・誤」判断,価値判断と関係する「適・不適」判断等がある。以下にいくつかの例を示す。(1)記憶表象と関係する再認判断,同定判断等の判断,(2)生理的欲求と関係する飢え,渇き等の判断,快・不快等の判断,(3)対象の形の複雑さ判断,対象の重さ判断など対象についての個別的認知判断と,同・異,大・小判断,類似性判断など対象間の相対的な認知判断,(4)あることを記憶している確信度,知識の正確さなどのようにメタ記憶・メタ知識に基づく判断,(5)真,善,愛などの抽象的判断,および,(6)真偽判断,帰納的判断,などがあげられる。  判断に当たっては,判断対象の構造を認知し,それに基づいて選択肢を認知し選択肢の価値効用)等を評価する必要がある。選択肢の認知と価値の評価は,確定する場合,確率的に定まる場合と定まらない場合とがある。意思決定理論では,人は合理的判断を行うと仮定して,選択によって得られる効用あるいは期待効用を最大にする原理,その他の原理を導入して規範的モデルを構成し,選択を予測する。しかし,現実にはいろいろな要因が働くので,主観確率の評価や選択判断に関する実験事実は,しばしば,予測から偏り,あるいは予測を支持しないことがある。たとえば,事後確率を低めに見積もる傾向(Phillips, L. D. & Edwards, W.1966),少数の法則(Tversky, A. & Kahneman, D.1971),アレ(Allais, M.)のパラドックス等,特徴ある判断の誤謬や偏りが認められる。 →意思決定 →社会的判断理論 →認知スタイル《Arkes, H. R. & Hammond, K. R.1986;Dawes, R. M.1988;Edwards, W.1961;佐伯胖1986;市川伸一1996→vid.文献 ◆今井四郎

心理学辞典 ページ 1807 での判断     単語。