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反対色説(ヘリングの)     【ハンタイショクセツ】🔗🔉

反対色説(ヘリングの)     【ハンタイショクセツ】 Hering's opponent-color theory  ヘリングは,人間の色覚は対をなす6個の基本的な感覚,すなわち黒―白,青―黄,緑―赤の3対の過程から成立していると考えた。網膜には,それぞれの基になる黒―白物質,青―黄物質,緑―赤物質の3種類の視物質が存在し,その網膜視物質が光化学反応を起こすことによって前記6個の感覚が生じると仮定したのである。各網膜視物質の光化学反応には,同化(合成)および異化(分解)の2種があり,同化によってそれぞれ黒,青,緑の感覚が生じ,また異化によって白,黄,赤の感覚が生じるとした。3種の視物質の同化と異化は,それぞれ独立かつ同時に進行するので,その3種の過程の状態のさまざまな組合せによって,いろいろな感覚が生ずるわけである。混色という実験的事実の裏打ちがあったヤング = ヘルムホルツ三色説の場合とは異なり,反対色説はあらゆる色(明るさに対応する白と黒は別にして)が赤・緑・黄・青の4種の色(これらはユニーク色である)およびその組合せで記述しうる(たとえば,橙だいだいは赤と黄,菫すみれは赤と青など)という現象的な観察から,ヘリングが洞察したものであるため,当時はあまり注目されなかった。しかし,今日では,生理学的にも反対色過程の存在が実証され,三色説とともに現在の色覚理論の定説である段階説の重要な一部を形成している。 →異化/同化 →混色 →三色説 →ユニーク色 →色覚理論 ◆日比野治雄

心理学辞典 ページ 1806 での反対色説     単語。