発達 【ハッタツ】🔗⭐🔉振
発達 【ハッタツ】
development
子どもが生まれ,大人になる過程での変化をさす。最近の
生涯発達心理学では
成人期・
老年期での変化も含める。
学習と同様に考える立場もあるが,多くの論者は区別する。その場合,発達の過程は,より長期の獲得でありそして長期にわたり獲得されたものに依存した獲得である。また
成熟と交互作用する過程を問題にする。そこで,遺伝的な規定と環境の影響の交互作用として発達の要因は定式化される。
乳児といえども,それなりに環境に
適応している以上,その適応を可能にする内的な機構があるはずである。適応の姿は年齢による大ざっぱな時期により大きく異なるから,そこに内的な機構の変化が想定できる。その変化の基本はおそらく遺伝的な規定によっているだろう。だが,より詳細な違いはいかなる環境で育つかにより変わってくる。遺伝的な特徴と小さい時の環境の交互作用により成人における違いのもとが作られ,その後の発達で変容していくと見なされれば,それは成人の問題を発達的に説明することになる。それは必ずしも
個人差のみならず,人の普遍的な特徴であっても,初期の適応のある特定の形態がその後の発達の方向に影響し,最終的に成人のある特定のあり方を作り出していると発達的な観点は見なすのである。そのような個体発生的な歴史的観点が発達的な見方である。
そこで,発達的な見方では,以前の経験やあり方がその後のあり方をどう規定するかという分析を行う。だが,人が生まれて死ぬまでの過程が同一の原則で説明できるのかどうかはわからない。共通の発達的な原則を求める立場と,時期ごとの特徴を記述する立場とがある。後者の立場では,上記ほどに長期的な影響関係を問題にせず,時期ごとの特徴によりその時の行動が規定されることを捉えようとする。
なお,発達的な現象のすべてが遺伝的なプログラムのようなもので規定されているのではない。社会的・文化的な影響も強い。そのうえ,年齢や社会的役割による段階は社会が規定するものでもある。
→学習 →成熟 →遺伝/環境 →発達心理学 →生涯発達心理学 →記憶発達 →言語発達 →認知発達 →発達段階 →発達課題《無藤隆・やまだようこ1995;東洋ほか1992》
→vid.文献
◆無藤隆







心理学辞典 ページ 1767 での【発達 】単語。