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脳幹     【ノウカン】🔗🔉

脳幹     【ノウカン】 brain stem  中脳きよう延髄をまとめて脳幹とよぶ。間脳を含める場合もある。生存するうえで欠くことのできない自律機能を直接制御している重要な部位であり,睡眠覚醒レベルの調節,姿勢運動制御も行っている。本能行動や情動行動の運動性出力経路でもある。 図表  延髄は脊髄の延長部分にあり,脊髄や自律神経からの求心性情報を上位中枢に伝え,遠心性出力として心臓血管や呼吸,消化管機能を調節している。吸引反射,嚥下えんげ反射,嘔吐反射,唾液分泌,咀嚼,瞬目反射,角膜反射および流涙反応もつかさどっている。また刺激により脳波徐波化して覚醒レベルを下げる脳波同期化機構も存在する。橋は延髄と中脳に挟まれた領域で,左右両側は中小脳脚によって小脳に連なる。顔面や頭部の多くの神経は橋から始まり,眼球運動,顔面の表情,唾液分泌,味覚などを調節する。さらに,延髄の神経とともに呼吸や身体の平衡感覚の調節も行っている。中脳は主として橋と脊髄,および視床大脳の間の知覚神経や運動神経の中継部位として機能している。瞳孔反射(光照射で瞳孔が縮小する対光反射や近くの対象を見る時に眼軸が収束し,縮瞳が起こる近距離反射),頭や体が動いた時の視野のブレを抑える前庭動眼反射,倒れかかった時に頭部や身体を正常に立て直したり防御姿勢をとらせる反応である姿勢反射あるいは歩行運動などの運動調節に主として関与している。橋および中脳網様体は上行性網様体賦活系として覚醒レベルの維持に関与している。  脳幹には,中枢神経系の広い範囲に線維を投射して,種々の調節機能を営む中枢自律系ともよべる神経機構が存在しており,動因報酬系に関係する中脳の黒質緻密質および腹側被蓋野のドーパミン・ニューロン,行動制止や徐波睡眠(NREM ノンレム睡眠)を誘発する中脳・橋縫線核群のセロトニン・ニューロン,覚醒や注意集中に関連して作動する橋の青斑核ノルアドレナリン・ニューロンなどがこれに当たる。 図表 →中脳 →橋 →延髄 →大脳 →大脳辺縁系《Bandler, R. & Shipley, M. T.1994;Klemn, W. R. & Vertes, R. P.1990;Loewy, A. D. & Spyer, K. M.1990→vid.文献 ◆粟生修司

心理学辞典 ページ 1722 での脳幹     単語。