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洞察     【ドウサツ】🔗🔉

洞察     【ドウサツ】 insight[E]; Einsicht[G]  問題解決事態において,試行錯誤的に解決手段を探していくのではなく,諸情報の統合によって一気に解決の見通しを立てることをいう。問題の解決を学習における学習完成基準への到達と考えると,試行錯誤的方法においては,試行数の増大に伴い,効果の法則によって徐々に行動の幅がせばまり,同時に成功確率が高くなるという,漸増曲線を描く。一方,ゲシュタルト心理学者のケーラーが類人猿を用いて行った実験では,被験体は無為な試行錯誤を繰り返すより,過去経験やその場のさまざまな状況を統合して,あたかもあらかじめ解決の見通しを立てたかのような行動をとった。これは,問題の初期状況において把握された構造が,一定の目的(天井からつるされたバナナを取る)に沿って再構造化・再体制化された結果だと見なされた。こうした,問題状況の中心転換が洞察を構成する最も重要なメカニズムである。結果的にそこでの学習曲線は,悉無しつむ律(none-to-all theorem)的な,不連続曲線となる。  洞察は,情報処理アプローチからは,活性化ルールや競合解消ルールによる,作動記憶での最適プロダクション(条件―行為の基本的ルール)の選択・構造化と定義することもできる。したがって,ゲシュタルト心理学における洞察とは,問題状況の中心的課題に沿って各種プロダクションが有機的に構造化され,最適プロダクションが選択された状態をいう。  また,ピアジェ知能の理論によれば,幼児でも感覚運動期の最終の第六段階において,心的結合による新しい手段の発明,という形で洞察に似た行動がとれるようになる。ただし,ピアジェ自身はゲシュタルト心理学のいう「洞察」は,シェマの共応によるのではなく,最終的には課題自体が経験に先立って内包している内的必然性に依存していると評して,洞察の概念とは一線を画している。 →ゲシュタルト心理学 →再構造化 →悉無曲線 →中心転換 →プロダクション →効果の法則 ◆田中俊也

心理学辞典 ページ 1608 での洞察     単語。