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注意     【チュウイ】🔗🔉

注意     【チュウイ】 attention  注意には選択性と強度・集中という二つの次元がある。生理学的には「注意は強い外部刺激や内部の自己受容刺激などによって,脳幹が興奮した時に起こる状態」とされるが,この定義は注意が機能するには覚醒レベルが一定以上必要なことを示すものである。選択性と強度の次元から生じる注意の諸相は,おもに(1)選択的注意,(2)処理容量・心的資源としての注意,(3)持続的注意・ビジランス,の三つである。 【選択的注意】 多くの情報のなかから認知する情報を取捨選択する機能。カクテルパーティ現象は,聴覚刺激に対する選択的注意の現れである。視覚刺激に対する選択的注意はスポットライトのようなもの(Posner, M. I. et al.1980)で,そのビームが視野空間内を眼球運動とは独立に移動し,視野内のビームがあたった位置にある情報の選択を行うと考えられている。 【処理容量・心的資源としての注意】 注意の強度を複数の対象に分配する機能。注意を情報処理を駆動するために引き出される限界のある心的資源と考える。カーネマン(Kahneman, D.1973)はこの概念を容量という語を用いてモデル化している(図 1)。 図表 処理容量としての注意の研究は,全体の容量の問題よりも,同時に注意が分配できる課題の数と内容の検討に興味が集中した。熟練した技能のように,注意の分配をほとんど必要としない自動的処理の性質について検討されるようになった(Shiffrin, R. M. et al.1981;Kahneman, D. & Treisman, A.1984)。一方,ノーマンとボブロー(Norman, D. A. & Bobrow, D. G.1975)は,カーネマンのモデルの延長上に,同時に遂行される複数の作業間の相互干渉作用のメカニズムを論じた。彼らはあらゆる活動には資源依存的過程とデータ依存的過程があるとする。資源依存的とはその作業の達成度が資源の増分に応じて増加する段階であり,データ依存的とは資源の配分を増やしても達成度には何の効果もない段階をいう(図2)。 図表 彼らのモデルは,注意の現象を技能上達による処理効率の問題にも視野を広げた点で評価されたが,すべての処理が単一汎用資源プールを共有しており,その汎用プールから資源配分を競いあっているとする点は修正を受けた。異なる感覚様相(モダリティ)を使う課題は同じ感覚様相を使う課題よりも容易に遂行できることから,感覚様相ごとに別々の資源があるとする多次元資源モデル(Wickens, C. D.1984)が考えられるようになった。処理資源の概念は,行為全体を制御する中央制御システムの概念へと広がっている(Norman, D. A. & Shallice, T.1980;Baddeley, A. D.1986)。 【持続的注意・ビジランス】 重要な刺激あるいは一つの刺激の諸相に対して持続的に注意の強度を一定レベルに維持する過程。間断のない長い期間にわたり不規則な間隔で出現する信号を検出する課題がビジランス課題である。航空管制や産業検査などの監視作業状況においてのビジランスの調整と制御が,この研究分野での重要な実践的問題である。 【注意の生理学】 注意現象への生理学的・神経心理学的アプローチとしては,事象関連電位との関連(沖田庸嵩1989),皮膚電気活動との関連(宮下彰夫1986),脳損傷患者に対する視覚実験(Posner, M. I.1989)などがある。事象関連電位との関連研究では,初期選別で受容された注意チャネルの入力に対する標的・非標的選別のための知覚処理に関連すると考えられる P300,能動的注意に関連した内因性電位(N200:Nd波ともよばれている),さらに受動的注意に関連したMMN(ミスマッチ陰性電位)も発見されている。脳損傷患者を被験者としたポスナーの視覚実験からは,空間的注意が複数の機能的に分化した構造に関連する分散的機能であることが示されている。たとえば空間的注意は,注意を向ける過程,解除する過程,移動する過程,の三つの下位プロセスからなり,注意を向ける過程は視床,解除する過程は後部頭頂葉,移動する過程は上丘と関連することが明らかとなっている。1990年代には機能的MRI(fMRI)での脳内の活性化部位(血流の増大した部位)を指標とする研究も進展している。 →選択的注意 →ボトルネック・モデル →注意の範囲 →覚醒 →ビジランス →意識 →処理資源 →前注意過程 →フィルター理論 →自動性 →誘発電位 →vid.文献 ◆渡辺めぐみ

心理学辞典 ページ 1496 での注意     単語。