短期記憶/長期記憶 【タンキキオク/チョウキキオク】🔗⭐🔉振
短期記憶/長期記憶 【タンキキオク/チョウキキオク】
short-term memory / long-term memory
人間の
記憶は
保持時間の長さによって,
感覚記憶,短期記憶,長期記憶に区分することができる。感覚記憶とは感覚刺激を感覚情報のまま保持する記憶で,その保持時間は視覚情報の場合は数百ミリ秒以内,聴覚刺激の場合は数秒以内といわれている。感覚記憶に入力された情報のなかで
注意を向けられた情報は
符号化され,一時的に短期記憶に貯蔵される。短期記憶の容量には限界があり,その容量は
記憶範囲検査(memory-span test)によって測定することができる。記憶範囲検査では,数や文字の系列を聴覚的に呈示し,直後にそれを
再生させる。たとえば,5―7―3―9―4…のようなランダムな数字の系列を読み上げ,それを順序どおりに再生させるのである。この検査によって測定される記憶範囲は,成人の場合でも7±2程度にとどまることが知られている。
ミラー(Miller, G. A.1956)は,これを「不思議な数7±2」とよび,短期記憶において一度に処理できる最大の情報量であるとした。また,短期記憶は保持時間にも限界があり,通常15〜30秒程度と考えられている。したがって,短期記憶に保持されている情報は,この保持時間中に
リハーサルなど情報を長期記憶にするための記銘処理がなされなければ
忘却されてしまう。
これに対し,長期記憶は,ほぼ無限の容量をもつ永続的な記憶であり,記憶の内容によって
宣言的記憶と
手続記憶に区分することができる。宣言的記憶とは,言葉によって記述できる事実に関する記憶をさす。これに対し手続記憶とは,たとえば「車の発進のさせ方」のような手続に関する記憶で,必ずしも言語的に記述できるとは限らない。宣言的記憶はさらに,
エピソード記憶と
意味記憶に区分することができる。エピソード記憶とは,特定の時間的・空間的文脈のなかに位置づけることのできる出来事(エピソード)の記憶をさすが,意味記憶とは,たとえば「鯨は哺乳類である」のような,一般的な知識としての記憶をさす。
→記憶モデル →作動記憶 →処理水準モデル →リハーサル《Loftus, G. R. & Loftus, E. F.1976;Klatzky, R. L.1980;Cohen, G. et al.1986》
→vid.文献
◆森敏昭














心理学辞典 ページ 1461 での【タンキキオク/チョウキキオク】単語。