対比 【タイヒ】🔗⭐🔉振
対比 【タイヒ】
contrast
我々が
知覚する対象は,その前に知覚した対象や周りを取り巻く刺激環境によって影響を受ける。その際,差が縮小され平滑化される方向で知覚される場合を同化,特徴の差が拡大され強調される方向で知覚される場合を対比とよぶ。たとえば,白い背景上の灰色は暗く,黒い背景上の灰色は明るく見え(明るさ対比),緑の背景上の灰色は赤みを帯び,赤い背景上の灰色は緑がかって見える(色相対比)。甘味を増すために塩を加えるのも
味覚における対比効果を利用している。高速道路を走り続けた後では普通の走行速度が遅く感じられたり,静かな環境のなかで大きく感じられた音もさらに大きい音を聞いた後では小さく聞こえるなど,すべての
感覚(
視覚,
聴覚,
触覚,
嗅覚,味覚,
温度感覚など)で,また,さまざまな感覚次元(視覚の場合,大きさ,明るさ,色相など)で,さらに,感覚次元のみならず判断次元においても生じる。また,
快・不快などの
感情・
情動のレベルでも対比効果が指摘され,感覚の生起に関わる最も基本的な現象といえる。なお,空間的に近接した刺激から影響を受ける場合を同時対比,時間的に近接した刺激から影響を受ける場合を継時対比とよぶ。継時対比では,
残像や残効あるいは
マスキングなどと重なって現れることもある。一般に,影響を及ぼす刺激の強度が高いほど,また接近しているほど対比効果は大きくなる。なお,対比という用語は,現象に対してのみならず,現象の背後の生起因に対しても用いられる。
→マッハの帯 →系列位置効果 →順応水準 →錯覚 →幾何学的錯視《大山正ほか1994;柿崎祐一・牧野達郎1976;柿崎祐一1974》
→vid.文献
◆三浦佳世













心理学辞典 ページ 1432 での【対比 】単語。