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大脳皮質     【ダイノウヒシツ】🔗🔉

大脳皮質     【ダイノウヒシツ】 cerebral cortex  大脳半球の外套の表層にみられる1.5mmから4mmの厚さの灰白質の部分。エコノモとコスキナス(von Economo, C. & Koskinas, G. N.)によれば,大脳皮質は,全体で約140億の神経細胞からなる。大脳皮質は,系統発生的に古い古皮質原皮質と新しい新皮質に分けられる。両生類では古皮質と原皮質のみが存在し,新皮質はない。新皮質は爬虫類になって初めて出現し,特に哺乳類で発達している。大脳皮質表面にはたくさんの溝がみられるが,大きな深い脳溝によって五つの大脳葉の皮質部分は,それぞれ前頭葉皮質,側頭葉皮質,頭頂葉皮質,後頭葉皮質,辺縁皮質とよばれる。辺縁皮質は古皮質・原皮質および中間皮質からなる。中間皮質には前頭葉眼窩皮質・側頭極およびとうが属する。  大脳皮質はその細胞構築学的特徴により多くの領野に分類される。これらの領野の分化は,同時にそのもっている機能の分化を示し,大脳皮質における機能の局在が認められる。大脳皮質は,外界や生体内部から送られてくる五感(嗅覚味覚・体性感覚・視覚聴覚)の情報を受ける感覚野と,運動をつかさどる運動野,およびそれ以外の連合野に大きく区別される。嗅覚・味覚の第一次感覚野は古・原・中間皮質にあるのに対して,体性感覚・視覚・聴覚の第一次感覚野は新皮質に存在する。嗅覚野は梨状葉に,味覚野は島にある。体性感覚野は,中心後回の3野・1野・2野が,聴覚野は側頭葉皮質の41野・42野が,視覚野は後頭葉皮質の17野が相当する。運動野は中心前回の4野にあり,その前に運動前野(6野)が存在する。大脳皮質の残りの部分が連合野に相当する。連合野は,元来,フレクシッヒ(Flechsig, P.)が神経線維の髄鞘形成過程の遅い領域を,形成の早い感覚中枢や運動中枢に対して「連合」中枢と名づけたことに由来する。この皮質は,系統発生的にも最も新しい領域で,下等哺乳類ではあまり発達していないが,霊長類での発達は著しく特にヒトで顕著で,大脳皮質に占める割合が大きい。連合野は,知覚・認知・記憶・判断・運動の企画・思考・意志・創造・感情など高次精神過程に密接に関係する。 →古皮質 →原皮質 →中間皮質 →新皮質 →細胞構築 →連合野 ◆靱負正雄

心理学辞典 ページ 1430 での大脳皮質     単語。