退却神経症 【タイキャクシンケイショウ】🔗⭐🔉振
退却神経症 【タイキャクシンケイショウ】
retreat neurosis
学業や仕事など,重要な社会的役割(本業)を避けるという行動面の問題を中心とする精神的障害。わが国において増加しつつある,従来の診断の枠組で捉えきれないタイプの
神経症として,笠原嘉によって命名されたが,一般に用いられる正式な診断名ではない。家の中に閉じこもったままになるような完全な引きこもりではなく,たとえば大学生であれば講義には全く出席しないがサークルや趣味の活動には熱心であるとか,はっきりした原因のないまま仕事を休み続けたりあっさり退職し,自宅で趣味に熱中していたりする青年やサラリーマンなどが典型である。本来は真面目だった者が,急に本業に対して無気力となり避けるようになり,苦しむ様子はあまりなく,本業以外で健康さをみせるような点が従来の神経症やうつ病のタイプと大きく異なる。苦痛の訴えはなく,何も悩んでいないようにみえてしまうため,本人よりもむしろ周囲が焦りを覚えるほどである。自分という人間が何者であり,社会の中でどのような役割を果たすべき存在であるかをしっかりともてない,
アイデンティティの障害とも考えられる。性別では男性に多い。
→アイデンティティ拡散 →アパシー →五月病《笠原嘉1988》
→vid.文献
◆神村栄一


心理学辞典 ページ 1400 での【退却神経症 】単語。