複数辞典一括検索+

説得     【セットク】🔗🔉

説得     【セットク】 persuasion  おもに言語的手段によって,他者の態度行動をある特定の方向へ変化させようとすること。ジンバルドーら(Zimbardo, P. G. & Leippe, M. R.1991)によれば,説得の構成要素としては,事実や論拠の呈示,それに基づく推論,結論の導出,勧告された行動がもたらす肯定的結果の明示などがあげられる。説得が受容されると,唱導方向への態度変化が生じ,さらには勧告された行動が遂行される。一方,説得が拒否されると,説得への抵抗やブーメラン効果が生じ,勧告行動は遂行されない。社会心理学では,このような説得効果を左右する要因の分析が行われてきた。  メッセージ学習説(Hovland, C. I. et al.1953)では,説得効果の独立変数を四つあげている。(1)説得の送り手が誰であるかによって説得効果は異なる。一般に,信憑性があり,魅力的で,受け手との類似点が多い送り手の説得力は大きい。(2)メッセージの内容,構成,表現によって説得効果は異なる。受け手の立場を攻撃する場合には,唱導される立場だけを主張する一面呈示よりも,逆の側の立場にも言及する両面呈示の方が有効である。また「勧告を受容しないと大変なことになる」と脅かす恐怖喚起アピールが有効であることも多い。(3)説得の媒体によって,説得効果は異なる。内容が複雑・難解であれば活字メディアが,単純・平易であれば視聴覚メディアが有効である。(4)同じ説得を受けても,その効果には受け手によって個人差がある。被説得性については,知能や自尊心などとの関連が検討されている。これらの四つの独立変数は,説得の内的な媒介過程に影響を与える。たとえば,メッセージが難解でチャネルが視聴覚メディアである場合には,主張を聞いただけではよくわからず,理解が抑制される。一般に,説得の受容が生起するためには,メッセージに注意が向けられ,理解されることがまず必要である。さらに説得効果が持続するためには,メッセージ学習を保持し,忘却しないことも必要である。これらの媒介過程の結果,説得効果として,信念変化や態度変化,行動変化が生じる。 図表  説得の媒介変数と従属変数についてはマクガイア(McGuire, W. J.1985)が,説得過程の入力/出力分析のなかで,出力の諸段階として詳述している。(1)コミュニケーションの受信,(2)メッセージへの注意,(3)メッセージへの好意・関心,(4)メッセージ内容の理解(whatの学習),(5)関連する認知の産出,(6)関連する技能の獲得(howの学習,たとえば禁煙のコツ),(7)コミュニケーションの立場への同意(態度変化),(8)態度変化を記憶,(9)関連資料を記憶から想起,(10)想起資料に基づく意思決定,(11)意思決定に基づく行動の遂行,(12)行為後に,新しいパターンを統合・再体制化。  ペティとカシオッポ(Petty, R. E. & Cacioppo, J. T.1981)は,説得へのアプローチとして,メッセージ学習説以外にも以下のものをあげている。(1)条件づけ・モデリング説(古典的条件づけオペラント条件づけ観察学習),(2)判断説(順応水準説,社会的判断理論),(3)動機づけ説(認知的均衡理論,認知的不協和理論,心理的リアクタンス理論),(4)帰属説(自己知覚理論),(5)結合説(情報統合理論),(6)自己説得説(役割演技認知反応理論)。  初期の説得研究では,メッセージ学習説に代表されるように,説得の一般理論を構築しようとする傾向が強かったが,研究が進むにつれて,それぞれの理論の制約条件が明らかになったり,研究がますます細分化されていくことも少なくなかった。また,初めからその適用範囲を限定した理論も現れた。たとえば接種理論や心理的リアクタンス理論は,説得効果のうちの,説得への抵抗だけを扱う理論である。しかし近年では,説得の一般理論の重要性が再認識され,精緻化見込みモデルに代表されるような,説得過程に関する従来の知見を統合的に説明しようとする理論が提出されてきている。 →応諾 →恐怖喚起アピール →社会的影響 →社会的判断理論 →信憑性 →スリーパー効果 →精緻化見込みモデル →接種理論 →態度変容 →認知的斉合性理論 →認知的不協和理論 →認知反応理論 →バランス理論 →被説得性 →ブーメラン効果 →漏れ聞きコミュニケーション →リアクタンス《Cialdini, R. B.1988→vid.文献 ◆今城周造

心理学辞典 ページ 1316 での説得     単語。