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アイデンティティ拡散     【アイデンティティカクサン】🔗🔉

アイデンティティ拡散     【アイデンティティカクサン】 identity diffusion  エリクソン(Erikson, E. H.1959)の人格発達理論における青年期の心理社会的危機であるアイデンティティの対をなす概念。すなわち,自己探求を続ける青年が,多くは一過性的に経験する自己喪失の状態をさす。エリクソンがアイデンティティ拡散の症状としてあげているのは,次の七つである。(1)時間拡散:時間的展望,希望の喪失,(2)同一性意識:自意識過剰,(3)否定的アイデンティティの選択:社会的に望ましくない役割に同一化する,(4)労働マヒ:課題への集中困難や自己破壊的没入,(5)両性的拡散:性アイデンティティの混乱,(6)権威の拡散:適切な指導的役割や従属的役割がとれない,(7)理想の拡散:人生のよりどころとなる理想像,価値観の混乱。これらは,重篤な臨床症状として境界例青年にも該当することが指摘されているが,青年期の自己探求(モラトリアム)のなかで,程度の差こそあれ多くの青年が経験する心理状態と考えられている。 →アイデンティティ →青年期 →モラトリアム →思春期危機 →vid.文献 ◆宮下一博

心理学辞典 ページ 12 でのアイデンティティカクサン単語。