生得的行動 【セイトクテキコウドウ】🔗⭐🔉振
生得的行動 【セイトクテキコウドウ】
innate behavior
遺伝情報に強く支配され,外部環境からの影響をほとんど被ることなく発現する
行動をさす。獲得性行動(acquired behavior)と対概念をなす。1960年代までのエソロジストによって用いられ,1950年代までの
行動主義心理学者の極端に行動の成立において
学習の要素を重視する立場への反発から生まれた。本能的(instinctive)という語が社会慣習上,生物学的に定義されるそれと異なるニュアンスをもち,しばしば重大な誤解を招くため,生得的と命名されたという経緯がある。おのおのの種の示す種特異的行動には必ず遺伝的背景があることを認識させるうえで,重要な貢献を果たした。ただ今日では,いかなる「獲得性行動」であろうと,その可塑性の程度は遺伝情報の拘束下にあること,反面いかなる行動といえども完全に環境情報から独立して成立することは不可能であるという考え方が定着しており,生得的行動という言葉は,ほぼ死語に等しくなっている。
→学習 →本能 →遺伝/環境
◆正高信男



心理学辞典 ページ 1289 での【生得的行動 】単語。