生得的解発機構 【セイトクテキカイハツキコウ】🔗⭐🔉振
生得的解発機構 【セイトクテキカイハツキコウ】
innate releasing mechanism ; IRM
動物に生まれつき備わった,特定のサイン刺激(sign stimulus, 鍵刺激 key stimulusともいう)に対して特定の
反応をする生理学的な仕組のこと(Tinbergen, N.1951)。たとえば繁殖期にテリトリーをもつ雄のトゲウオが,赤い腹部(サイン刺激)をした別の雄をみて攻撃行動を示すとき,そこに働く生得的な神経感覚機構をいう。その際,腹部の赤さの解発性はその雄のとる姿勢によって変動する(刺激加算の法則)。また複数の刺激 = 反応の結びつきが連鎖的に展開されるという場合もある。サイン刺激の強度を正常な範囲以上に強めた場合,行動を解発するのにいっそう効果的となることが知られており,その
刺激は特に超正常刺激(super-normal stimulus)とよばれる。サイン刺激と類似した概念として社会的解発刺激(social releaser)があるが,それには儀式化(ritualization)などのように,特にその刺激特性の進化が含意されることが多いとされる。生得的解発機構に対し,生後の経験によって獲得された刺激 = 反応の結びつきを,獲得性解発機構(acquired releasing mechanism)という。
→生得説 →生得的行動 →本能
→vid.文献
◆根ヶ山光一


心理学辞典 ページ 1288 での【生得的解発機構 】単語。