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精神療法     【セイシンリョウホウ】🔗🔉

精神療法     【セイシンリョウホウ】 psychotherapy  精神療法(心理療法,サイコセラピー)を定義するのはきわめて難しい。たとえば「精神療法的」であるとされる行為は,きわめて広範にわたるのをみてもわかるだろう。それは精神分析療法からマッサージ師や教師が患者や生徒にかける言葉にまで及ぶ。しかし実際のところ精神療法とは,一定期間そのための特有の訓練を積んだ者によってなされるものとしてよい。さらに限定した意味合いでは,「相談」やカウンセリングなどを除外し,あくまでセラピーつまり治療であると定義されよう。したがって「成長」や「洞察」「自己実現」「自己の確立」などといったことが治療を経過して副次的に生じたと仮定されても,それらが治療の本来の目標や目的にはならない。  治療のめざすところは,治療者との治療契約に基づく対人関係を介して患者の認知行動感情身体感覚に変化を起こさせ,症状や問題行動を消去もしくは軽減することである。その方法は言語的,非言語的,芸術療法など道具を生かした介入など多岐にわたる。また患者個人のみを対象とするものから,夫婦,家族,集団を対象とするものまでさまざまである。特定の治療は上記の患者の諸要素のどれかに一義的な変化をもくろむ。たとえば精神分析療法は認知と感情に焦点を当てるし,認知療法行動療法では患者の認知行動が標的となる。自律訓練法などは身体感覚に訴える方法といえよう。  以上のように,精神療法は他の治療法以上にきわめて多くの方法論と治療機序をもつため,特定の精神療法の適用にあたっては十分に吟味される必要がある。しかしながら,効果判定の困難性から適用については他の治療法よりも研究が立ち遅れてきた感がある。今後は治療者の特性などを含んだ適用基準をより明確にするような研究が多くなされることが期待されている。 →精神分析療法 →認知療法 →行動療法 →自律訓練法 →カウンセリング →精神療法家 ◆中村伸一

心理学辞典 ページ 1276 での精神療法     単語。