精神分裂病 【セイシンブンレツビョウ】🔗⭐🔉振
精神分裂病 【セイシンブンレツビョウ】
schizophrenia
典型的な
内因性精神病で,現実と非現実の区別がつくという意味である現実検討能力が部分的・可逆的に障害されることを最大の特徴とする。精神分裂病(たんに「分裂病」ともいう)は
思春期以降に発症するのが一般的であり,症状としては
幻覚や
妄想などの現実歪曲症状と,
思考や
行動の統合が障害される不統合症状,思考や行動が貧困化する貧困症状などが認められる。分裂病では,表面的には症状が軽快するが本質的には治癒してはいないという意味である「寛解」を示すが再発し,再発・寛解を繰り返す経過をとったり,慢性的に症状が持続する経過をとるものが全体の 80% くらいある。また,現実歪曲・不統合・貧困などの症状の出現の仕方は多様であり,症状の組合せと経過により解体型,緊張型,妄想型などに下位分類される。分裂病の生涯罹患率は人口100人当たり1人で,地域や時代による差や男女差はないと考えられている。
現在の分裂病概念は19世紀の後半に
精神医学の体系とともに形成されてきた。19世紀の終わり頃に一群の
精神病に分裂病という名称を最初に用いたのはスイスの精神科医
ブロイラーであったが,それに少し先行してドイツの
クレペリンが分裂病に相当する
早発性痴呆と躁うつ病とを区別し現在いうところの分裂病を一つの疾患として確立したことに分裂病の歴史は始まるといってよい。分裂病の発病機序としては個人の素因である発病脆弱性と社会生活上のストレッサーの相互作用(脆弱性―ストレス・モデル)が考えられている。素因的な発病脆弱性とは
脳の構造的・機能的な特性であり,この特性の成立には遺伝的要因と胎生期・
周産期の外因の関与が考えられている。
分裂病の治療は,
薬物療法,
精神療法,社会復帰・
生活療法から成り立つ。発病後の治療の枠組的考えとしては,「脆弱性―ストレス―対処―力量」モデルが有用である。すなわち再発脆弱性をもった個人が社会生活のなかで
ストレスにさらされても,その個人にストレス状況に対処する技能や周囲からの支え,社会復帰のための社会資源,適切な
抗精神病薬の使用などの防御的要因があれば再発を免れて良い予後を得ることができる,ということである。
→破瓜はか型分裂病 →緊張型分裂病 →妄想型分裂病 →分裂病型人格障害 →薬物療法 →精神療法 →抗精神病薬 →精神医学的リハビリテーション
◆丹羽真一


















心理学辞典 ページ 1274 での【精神分裂病 】単語。