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精神物理学的測定法     【セイシンブツリガクテキソクテイホウ】🔗🔉

精神物理学的測定法     【セイシンブツリガクテキソクテイホウ】 psychophysical methods  心理学において伝統的に広く用いられる一連の測定法で,主としてフェヒナーに由来する実験法であるが,現在では,尺度構成法信号検出理論・統計的決定理論などとの関連も示されている。刺激閾いき刺激頂弁別閾などについての測定,および等価値・定比値・等差値など刺激値についての測定の方法として調整法極限法恒常法が当初から発展してきたが,このほか評定法(rating method)およびテスト法(test method)がある(田中良久1961;Guilford, J. P.1954)。  ここで従来用いられてきた精神物理学における代表的な測定法を列挙しよう。被験者に与えられる物理的刺激に対して被験者が行う判断(反応)によって両者の関係が明らかにされる。刺激呈示の条件により次のように分類される。  [1] 調整法:結果の処理手続から平均誤差法(method of average error),また研究者の意図するところからは刺激等価法(method of equivalent stimuli)ともいわれる。刺激呈示の手続として,標準刺激に対して変化する比較刺激を上昇・下降両系列により反復して異同の反応を求める。刺激呈示は実験者・被験者のどちらの場合によっても可能である。  [2] 極限法:極小変化法ともよばれ,丁度可知差異を前提として考えられた方法である。刺激呈示の手続として,標準刺激に対して連続的に変化する比較刺激の呈示を上昇・下降のいずれかの系列により異同の反応を求めるのが普通である。実験者が刺激を変化させ,被験者が反応する。  [3] 恒常法:刺激呈示の手続として,測定値が存在する範囲をあらかじめ定め,標準刺激に対して複数の比較刺激をランダム呈示して異同の反応を求める。ランダムは系列効果による誤差を除く意味である。結果の整理において刺激値の推定には直線補間法,正規補間法などが用いられるが,ミュラー = アーバン法では判断が標準正規分布するという仮定に基づき精神測定関数(psychometric function)を求め最小二乗法により推定がなされる。また多肢選択強制法という刺激呈示では信号検出理論と接点が生ずる。  [4] マグニチュード推定法:規準刺激の感覚量 v(s) と比較刺激の感覚量 v(s′) との比率を観察者に直接判断させて尺度化する。幾何平均による推定が適切である。  [5] 一対比較法:複数の刺激対象間の一対比較により優劣の反応を求める。最初に単一の被験者により二次元の表をつくる(リーグ戦の星取り表と同じである)。複数の被験者のデータを集計して確率化して標準正規分布の仮定により間隔尺度上に対象を定位できる。フェヒナーの創設した実験美学に関係する。  [6] 順位法:品等法ともいわれる。複数の刺激対象全体の順位づけにより優劣の反応を求める。複数の被験者の順位づけのデータを集計して二次元の表をつくる。パーセンタイルを用いて各対象の優劣を順序尺度上に定位できる。また標準正規分布の仮定により間隔尺度上にも定位できる。 →精神物理学 →実験美学 →尺度構成法 →信号検出理論 →vid.文献 ◆岡本栄一

心理学辞典 ページ 1269 での精神物理学的測定法     単語。