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精神物理学     【セイシンブツリガク】🔗🔉

精神物理学     【セイシンブツリガク】 psychophysics[E]; Psychophysik[G]  心理物理学ともいう。フェヒナーが心と身体との間の関数的関係についての精密科学として提唱した学問をさす。精神物理学の構想は『精神物理学要論』(Fechner, G. T.1860)のなかで述べられている。フェヒナーは精神物理学を,対象とする過程の違いにより,刺激強度(I)と感覚の大きさの判断(R)の関係を扱う外的精神物理学(uere Psychophysik)と,生理的興奮(E)と感覚(S)の関係を扱う内的精神物理学(innere Psychophysik)に分けた。現在精神物理学とよばれるのは,I-R 関係(I と R は観察可能)を表現しうる関数を探ることを目的とする外的精神物理学をさす場合が多い。フェヒナー自身は精神物理学的法則として,ウェーバーの法則をもとにして R=k・log I なるフェヒナーの(対数)法則,つまり R は I の対数に比例して増大するとする法則を導いた。フェヒナーは感覚を直接測定するのは困難であるが,感覚間の大小関係の弁別は可能であると考え,弁別閾いきを単位として間接的に感覚の大きさを表現する方法をとった。近年スティーヴンス(Stevens, S. S.1961)は,フェヒナーの法則に代わる精神物理学的法則として R=k・I なるベキ関数で表されるスティーヴンスの(ベキ)法則を提案した。ベキ法則では R は I のベキ乗に比例して増大し,ベキ指数 n は感覚のモダリティによって異なる。  外部からの観察が困難な E-S 関係を扱う内的精神物理学はフェヒナーが最も重視した部門であったが,当時は生理過程を直接計ることができず具体的な進展をみなかったが,その考え方は神経量子理論や信号検出理論など現代の精神物理学的理論に受け継がれている。外的精神物理学の方法としてフェヒナーが提案した方法は,その後改良されて,調整法極限法恒常法などの精神物理学的方法として広く用いられている。またスティーヴンスの提案したマグニチュード推定法は感覚の直接尺度構成法として用いられている。 →精神物理学的測定法 →フェヒナーの法則 →スティーヴンスの法則 →マグニチュード推定法《Gescheider, G. A.1985;大山正ほか1994→vid.文献 ◆苧阪直行

心理学辞典 ページ 1268 での精神物理学     単語。