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ステレオタイプ     【ステレオタイプ】🔗🔉

ステレオタイプ     【ステレオタイプ】 stereotype  ジャーナリストのリップマン(Lippmann, W.1922)が使用・流布した用語。集団の成員全般に対して十把一絡げ的な認知(信念や期待)を割り当てること。おもに集団を対象とするが,個人に関するステレオタイプもある。関連用語である偏見は,集団とその成員に対する否定的な認知および感情の複合体をさすが,ステレオタイプは集団とその成員に対する過度に一般化された否定的または肯定的な認知をさす。誤った関連づけも一つの形成因である。  ステレオタイプは,集団認知には必然的に付随するものである。つまりどの集団でも,無数の側面から特徴づけることは可能であるがきわめて困難(認知的に不経済)である。それよりも,始めは集団成員が同じ態度,価値観,知覚行動様式,社会経済的地位などを共有していると仮定してから,個々人を認知する方が認知的に経済的なのである(Hamilton, D. L.1981;Quattrone, G. & Jones, E. E.1980)。集団のように予測がつかない複雑な振る舞いをするものに対する情報的統制感をもつために単純なステレオタイプをもてば,その集団の振る舞いについて主観的な予測が成り立ち安心することもできる。ステレオタイプはしばしば真実をついている。しかし対象集団の成員に関する粗略な仮説にすぎない。ステレオタイプが社会的実在としてそのまま受容され,ステレオタイプに合致しない成員行動は無視されたり例外視されるのは問題である。つまり認知心理学的にいえば,ステレオタイプが仮説でなく社会的現実を表すスキーマとなり,トップダウン的に対象集団の成員に関する情報処理が行われるのは問題である。  ステレオタイプを解消することは,おもに二つの理由から困難である。一つは,ステレオタイプ的認知は認知者自身が気づかないほど自動的・無意識的に生起するので,修正の機会が少ないからである(Devine, P. G.1989a)。もう一つは,かりにステレオタイプに合致しない成員行動をいくつか観察しても,それらの成員を例外としてさらに亜種(サブタイプ)化してしまうことが多いので,既存のステレオタイプは往々にしてそのまま保存されるからである(Taylor, S. E.1981;Hewstone, M. et al.1992a,b)。 →誤った関連づけ →A-Sスケール →Eスケール →エスノセントリズム →差別 →スキーマ →スケープゴート →認知的経済性 →偏見 →vid.文献 ◆杉森伸吉

心理学辞典 ページ 1218 でのステレオタイプ単語。