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スキーマ     【スキーマ】🔗🔉

スキーマ     【スキーマ】 schema ; scheme  知識を構成するモジュールとして想定される概念であり,認知過程を知識に基づいて説明するうえで広く用いられる理論的な概念である。特に知識に導かれて進行する能動的でトップダウンな過程の説明に中心的な役割を果たす。スキーマという言葉自体はバートレット(Bartlett, F. C.1932)ら心理学者によって古くから取り上げられてきたが,知識を表現するために計算機言語で表現しうる形ではっきりと概念化されたのは認知研究が盛んになって以来のことである。  スキーマは,人が経験によって身につける知識のモジュールとして,次のような特徴をもつと考えられている。第一にスキーマは,変数をもつことにより具体的な情報も抽象的な情報をも扱える柔軟性をもつ。スキーマは抽象的で一般化された知識のかたまりではあるが,異なった場面や対象に対処できるように,固定した内容情報以外に変数を受け入れるスロットをもっている。たとえば,買い物をするというスキーマは,金額や品物というスロットに場面に応じた適当な金額やものの名前を入れて使われる。これによって買い物という一般的な知識を扱うことができるのと同時に日常的な理解も可能になる。第二の特徴として,スキーマは埋め込み構造をもつ。スキーマは多数存在するが,互いに排他的な情報モジュールではなく,互いに埋め込まれて存在すると考えられる。たとえば,食事をするというスキーマのなかには,自炊をする,外食をする,外国で知らないものを食べる,などのさまざまなスキーマが内包されうる。また,スキーマは,抽象的な規則によって定義として構成されるのではなく,むしろ我々が毎日体験する経験や何度も繰り返し行う体験的な知識から成り立っている。このような特徴をもつことにより,スキーマは,現実に日常的な生活のなかで世の中の状況を把握するために使われている知識の理論化を可能にしている。 →スクリプト →フレーム →物語文法《Rumelhart, D. E.1975→vid.文献 ◆三宅なほみ

心理学辞典 ページ 1207 でのスキーマ単語。