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睡眠     【スイミン】🔗🔉

睡眠     【スイミン】 sleep  持続的な意識消失と,全般的な身体機能の低下状態であり,覚醒と対をなして周期的に生じるの生理的な活動様態である。成人の場合には1日の周期で1回眠り,1日のうちの約3分の1弱を占める。  1930年頃からの脳波を中心としたポリグラフ記録による睡眠研究によって,睡眠が一様ではなく深さの違いのあること,および,質の異なったものが存在することが明らかとなった。その結果,複数の段階に分類されるようになり,現在では国際基準が定められている(Rechtschaffen, A. & Kales, A.1968)。その分類法では,覚醒を段階(stage)Wとし,睡眠は5段階に分けられる。段階1は,入眠時のうとうとした状態で,アルファ波が少なく,かつ小さくなり,やがて消失して,低振幅速波の漣波やシータ波が混入する低振幅の脳波となる。そして,後半では頭頂部鋭波(vertex sharp wave)が出現してくる。段階2は,自覚的にも浅い眠りに入った状態で,睡眠紡錘波(spindle)と高振幅のK複合波(K complex)が出現してくるが,まだデルタ律動がみられない時期である。段階3は,中等度睡眠とよばれ,音などの感覚刺激を与えてもかなり強くないと覚醒されない状態で,デルタ律動(デルタ波)が 20% 以上で,50% に満たない時期をいう。段階 4 は,深睡眠とよばれ, デルタ律動が 50% 以上となる時期をいう。段階REMは,低振幅脳波と,時々の急速眼球運動(rapid eye movement),抗重力筋の緊張の消失を特徴とする時期である。  これら5種の段階が約90分の周期で一夜のうちに,4〜5回繰り返されるが,段階4は入眠後最初と2回目の周期には認められるが,明け方の周期には出現しない。反対に,段階REMは,最初の周期から存在するものの,周期を重ねるに伴って長くなる(たとえば,9分→19分→24分→28分など)。段階REMに対して,段階1〜4を合わせて,NREM ノンレム睡眠ともいう。また,段階3と4を合わせたものを徐波睡眠(slow wave sleep)という。  ヒトの睡眠は,新生児では22時間くらい,成長するにしたがって7〜9時間となり,老人では5〜6時間となる。また,REM睡眠も新生児では全睡眠時間中の 50% を占めるが, 成人では 20% くらいとなる。 睡眠は生体にとって必須のように思われるが,その機能の全体像についてはまだよくわかっていない。 →REM睡眠 →NREM睡眠 →脳波 →断眠実験 →覚醒 →vid.文献 ◆投石保広

心理学辞典 ページ 1196 での睡眠     単語。