信念 【シンネン】🔗⭐🔉振
信念 【シンネン】
belief
ある対象とその他の対象,
価値,
概念および属性との関係性の
認知である。信念は,日常的な用法ではかなり
動機づけ的要素が含まれるが,概念としてはもっと広義に捉えられ,信仰,
迷信,
偏見,
ステレオタイプ,
イデオロギー,
妄想などのほかに
知識も含まれる。しかし,信念の獲得過程において仮定される
文化や社会との相互作用の影響を強調し,信念と知識とは区別してよばれることもある。なお個人が獲得した数々の信念は個人的に整理され構造化され,
スキーマやさらに大きなシステムを形成していると考えられている。そのシステムの全体的構造は,個人的に正しいと見なす信念の組織と個人的に誤りと見なす信念の組織とに分類できるほか,個人的に重要と見なす信念とそうでないと見なす信念,個人的に確信度の高いと見なす信念とそうでないと見なす信念とにも分類できる。あるいは個人の直接知覚によって形成される信念,社会的推論によって形成される信念,他者がいだく信念を受け入れることによって形成した信念とに3分類することも可能である。
信念の心理学的機能はさまざまであるが,内的には,高次な精神過程におけるいわば個人の「
思考の道具」であり,
アイデンティティや
パーソナリティの本質的な構成要素でもある。またある信念は,対人的相互作用を経て社会的に共有され,
多数の無知,
ピグマリオン効果,
自己充足的予言のような
社会的影響や
カルトの社会運動を誘導したり,迷信や偏見となってそれらから生じる
差別,あるいは個人間や集団間の葛藤を引き起こす原因となることもある。
信念は
態度を構成する一要素であるという考えから,態度の構造や
態度変容の研究に含まれることがあるが,最近ではステレオタイプやスキーマの認知研究が進展するなかで,
社会的認知,
意思決定過程などの分野で検討されたり,自己過程,俗信と文化,
認知科学,
認知療法などでも扱って,心理学の幅広い領域での研究がなされてきている。
→アイデンティティ →ステレオタイプ →スキーマ →自己 →認知療法 →態度 →態度変容 →多数の無知 →偏見 →ピグマリオン効果 →自己充足的予言 →迷信《Bem, D. J.1970;Fishbein, M. & Ajzen, I.1975;Rokeach, M.1960》
→vid.文献
◆西田公昭



























心理学辞典 ページ 1168 での【信念 】単語。