進化　　　　　【シンカ】 evolution 　生物のある種が別の種から形成されること。および，それに伴う形質の変容。この場合の形質には，形態学的なものばかりではなく，心理・行動学的側面も含まれる。今日の進化の考え方の大枠は，19世紀にダーウィンによって考えだされた。だが実証的裏づけを得るには，20世紀前半の遺伝学の発達を待たねばならなかった。いわゆる「進化の総合学説」は，三つの基本概念に立脚している。まず，突然変異によって種内の特定の個体の形質に変異が生ずることが前提となっている。ついで，個体はおしなべて生息する環境下で，淘汰圧（あるいは選択圧）にさらされているとされる。変異が生じた個体は，他個体に比べて当該の環境下で，生存がより有利になるかあるいは不利になるかの，いずれかの状況に置かれる。そして最も有利な個体が最も効率よく子孫を残す途をたどる。これが自然淘汰（選択) に基づく，最適者生存の原理であり，一定の時間を経過して，他個体からなる集団から分岐しうることが統計学的に証明されている。 →ダーウィニズム　→ラマルキズム ◆正高信男