順応 【ジュンノウ】🔗⭐🔉振
順応 【ジュンノウ】
adaptation
一般に生活体の内的状態,機能,構造を与えられた環境条件に適合させ,バランスを保つ過程を意味する。心理学では大きく感覚的順応と社会的順応の2種類の順応が区別される。感覚的順応とは,持続的な
刺激の呈示により感覚細胞の応答の変化が生じ,
刺激閾いきが上昇し感覚機能の応答性が低下し,
感覚の強度,性質,明瞭性が弱まり,顕著な場合は感覚が消失に至ることを意味する。これは一般に,同一の
受容器の一つの部位に同一の刺激が連続して与えられると後の刺激の効果が減少することに基づいている。
視覚的順応としては,白もしくは黒の表面を持続的に見続けると灰色に見えはじめる,いわゆる
明るさの順応がある。これは
明順応,
暗順応として知られているものと同一の機序に基づく。聴覚的順応としては,視覚ほど明確ではないが,強い音が持続的に呈示されると,音に対する
感受性が低下する。
周波数によって感受性の低下が異なり,高い音の感受性は低い音の感受性よりも影響される(Postman, L. & Egan, J. P.1949)。
皮膚感覚の順応としては,圧刺激が連続的に呈示された場合の研究がある。3分間連続呈示されると,最初の4分の1以下に低下する結果がある(von Frey, M. u. Goldman, A.1915)。圧に比べると痛刺激に対する順応は遅い。温刺激に対する順応は,熱い風呂に入った時にだれもが一般に経験する順応である。このような効果は負の順応(negative adaptation)として,感覚的経験のみならず,
学習における刺激の効果として説明概念となった。また,知覚判断の基準が同種または系列全体に依存して形成される過程を順応とよぶ場合があり,
順応水準はそれから派生した概念である。
さらに社会的順応は,
適応と同義であり,社会的環境,文化的環境への適合的な行動や態度をとることをいう。
→暗順応 →明順応 →適応 →順応水準
→vid.文献
◆嶋田博行













心理学辞典 ページ 1042 での【順応 】単語。