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準拠集団     【ジュンキョシュウダン】🔗🔉

準拠集団     【ジュンキョシュウダン】 reference group  個人の意見,態度判断行動などの基準となる枠組を準拠枠(frame of reference)といい,この枠組を提供する集団を準拠集団という。個人はこの集団の規範との関係において自己を評価し,態度を形成あるいは変容していく。一般には家族,友人などの近隣集団や所属集団であることが多いが,かつて所属していた集団,将来所属したいと望んでいる集団も個人の準拠枠形成に影響を与えるので,こうした同一視集団,非所属集団をも含めることに特徴がある。  ハイマン(Hyman, H. H.1942)は,集団内における自己の主観的地位評価の準拠点となる集団としてこの概念を初めて使用した。マートン(Merton, R. K.1949)は,ストーファー(Stouffer, S. A.)のアメリカ兵の不満度に関する研究結果をもとに,集団規範が内在化され準拠枠が成立してゆく準拠集団過程,準拠集団の選択過程,準拠集団の社会的機能について理論化,体系化を行った。シェリフ(Sherif, M.1936)は2,3人の集団で光点の移動距離を推定させた。最初ばらついていた判断はしだいに一つの判断基準に到達し,ひとたび基準枠が成立すると後々まで個人の判断基準枠として作用するとした。ニューカム(Newcomb, T. M.1963)の25年にわたるいわゆるベニントン研究とよばれている追跡調査によると,大学のキャンパスを準拠集団とした女子大学生は学年を追うごとにリベラルな方向に態度変化を示したのに対して,閉鎖的な友人関係を作ってキャンパスにおける規範と自己の規範とのずれに気づかなかった者,ずれには気づきながら家族や出身地との癒着が強い者は保守的な態度を変えなかった。両者とも大多数の者がその態度を25年後の調査でも維持していた。  ハイマンやマートンの研究は集団における他者との比較において自己の立場を決定するという機能を果たす比較準拠集団を,シェリフやニューカムの研究は個人の規範を提供する規範準拠集団を扱ったものと考えられる。 →社会規範 →集団規範 →重要な他者 →vid.文献 ◆小関八重子

心理学辞典 ページ 1038 での準拠集団     単語。