よ【世・代】🔗⭐🔉振
よ【世・代】
(語源的には「節よ」と同じで、限られた時間の流れを意味する)
①ある統治者が主権を維持して国を治める期間、または一家の家長が家督を相続して、その家を治める期間。代だい。万葉集1「橿原かしはらの日知ひじりの御―ゆ」。「明治の―」「先代の―」
②同一の氏族・系統・政体などが、引き続いて国家の主権を持つ期間。時代。「源氏の―」「武家の―」
③転じて、国。国家。また、その政治。時には政治的機関・朝廷・天皇の意にも用いる。栄華物語月宴「―始まりて後、この国のみかど六十余代にならせ給ひにけれど」。源氏物語薄雲「おとどの、かくただ人にて―に仕へ給ふも」
④(特定の)期間。時期。時節。とき。おり。大和物語「二条の后の宮まだ帝にもつかうまつり給はで、ただ人におはしましける―に」。源氏物語御法「露けさは今昔ともおもほえず大方秋の―こそつらけれ」
⑤人の生きてきた、また、生きていく年月。個人の一生。生涯。年齢。よわい。いのち。紫式部日記「としくれてわが―ふけゆく」
⑥〔仏〕過去・現在・未来の三世。そのおのおのをいう。万葉集4「この―には人言しげしこむ―にも逢はむわが背子今ならずとも」。「あの―」
⑦人間が生活していく場としての、さまざまな人間関係・社会関係を総括していう。また、その一般的な趨勢や時流をいう。世の中。社会。世間。世情。時勢。万葉集18「父母を見れば尊く、妻子めこ見れば愛かなしくめぐし、うつせみの―の理ことわりと」。「―のため人のため」「―の移りかわり」「民主主義の―」
⑧特に、俗界としての世の中。俗世。浮世。古今和歌集雑「―を捨てて山に入る人山にてもなほ憂き時はいづちゆくらん」。「―を厭う」
⑨世の中で生計を立てること。なりわい。家業。「―の営み」
⑩世間の人々。また、世間の評判。拾遺和歌集雑恋「しのびていひちぎりて侍りけることの―に聞え侍りければ」
⑪男女のなからい。異性との愛情関係。源氏物語花宴「まだ―に馴れぬは、五六の君ならむかし」
⑫身の上。境遇。運命。源氏物語蓬生「たぐひあらじとのみ、めづらかなる―をこそは見奉り過ごし侍れ」
⑬(「―の」「―に(も)」の形で、強調を表す)この上ない。あまりにも。まったく(の)。源氏物語帚木「―のすきものにて、ものよく言ひ通れるを」。「―にも美しい女性」
⑭(「…世(も)なし」の形で、否定を強めて)まったく…することがない。蜻蛉日記上「心のとくる―なく嘆かるるに」
⇒世が世ならば
⇒世と共
⇒世に合う
⇒世に在り
⇒世に入れられる
⇒世に聞こえる
⇒世に従う
⇒世に処する
⇒世に知らず
⇒世に立つ
⇒世に連れる
⇒世に出る
⇒世に問う
⇒世に無し
⇒世に旧る
⇒世は張物
⇒世は回り持ち
⇒世も末
⇒世を挙げて
⇒世を出づ
⇒世を籠む
⇒世を去る
⇒世を忍ぶ
⇒世を知る
⇒世を捨てる
⇒世を背く
⇒世を保つ
⇒世を尽くす
⇒世を遁れる
⇒世を離れる
⇒世を憚る
⇒世を張る
⇒世を響かす
⇒世を済す
⇒世を渡る
広辞苑 ページ 20144 での【世】単語。