石原純 【いしわらじゅん】🔗🔉

石原純 【いしわらじゅん】 1881(明治14).1.15-1947.1.19. 東京の生れ.東京帝国大学理科大学物理学科を1906年に卒業.1911年東北帝国大学助教授となり,翌年渡欧.ゾンマーフェルト,アインシュタインなどの指導を受け,相対性理論,量子論の研究を進め,日本の理論物理学研究の先駆的な役割をはたした.これらの研究に対し,1919年に学士院恩賜賞を受けた.1914年東北帝国大学教授.1921年恋愛事件により退職.1922年アインシュタインの来日に際しては,講演の翻訳,解説をつとめ,異様な‘相対論ブーム'の渦中におかれた.以後理論物理学の啓蒙に努め,すぐれた科学評論家として活躍した.アララギ派の歌人としても知られる.“岩波理化学辞典"(初版1935年)の編集主任でもあった.

石英🔗🔉

石英 [quartz] 理想化学組成SiO₂,ただしほとんど純粋.常温常圧で熱力学的に安定なシリカ鉱物.三方晶系,旋光性が互いに逆の右旋性型(右石英),左旋性型(左石英)がある. 密度2.65g/cml³,モース硬さ7(標準).無色,絶縁体,誘電体.各SiO₄4面体はすべての頂点を共有し,空間充填率の高いフレームワークを構成する.美しい結晶は*水晶とよばれる.面角一定の法則,圧電効果の発見はこの物質についてなされた.約575℃で2次‐1次混合型の相転移により六方晶系の高温型石英となる.これも左右の2型がある.この転移は,4面体を結んでいるO原子の位相のそろった振動による.しかし転移点付近での超格子の出現などの特異な性質は未解明である.高温型石英は,熱力学的にトリディマイト,クリストバル石が安定な温度でも,これらの多形への転移は構造の全面的組みかえを必要とするため不可能で,そのまま準安定に存在し,融解に至る.  岩石中に普遍的に産する.ペグマタイトでは特に巨大な結晶として産する一方,微結晶集合体も玉髄(chalcedony)として,また岩石の2次的充填物として産する.化学的に安定なため,堆積して珪(けい)岩(quartzite)となる.セラミックス工業の材料に重用される. ⇒酸化ケイ素[2]

石英ガラス🔗🔉

石英ガラス [quartz glass] →ガラス

石英閃緑岩🔗🔉

石英閃緑岩 →閃緑岩

石英粗面岩🔗🔉

石英粗面岩 [liparite, quartz trachyte] →流紋岩

石質隕石🔗🔉

石質隕石 [stones] →隕石

石炭🔗🔉

石炭 [英 coal, mineral coal 仏 houille, charbon 独 Steinkohle, Kohle 露 каменный уголь, уголь] 太古の植物が水底または土砂中に埋没し,天然の炭化作用を受けたもの.日本の石炭は主として新生代第三紀に繁茂した顕花植物(針葉樹,広葉樹)から,欧米・中国のそれは古生代,中生代の隠花植物(鱗木,封印木)からできている.石炭はその炭化度(無水無灰ベースで表示)により,泥炭(〜60%),亜炭(〜70%),褐炭(70〜78%),歴青炭(非粘結炭78〜80%,弱粘炭80〜83%,粘着炭83〜85%,強粘炭85〜90%),無煙炭(90%〜)に分類される.またこのほかにも粘結性の有無,揮発分と水分の含有量,発熱量などによって分類することもある.石炭は天然高分子物質と考えられ,その平均的構造単位は縮合度の異なる多環芳香族の構造部分,鎖状および環状脂肪族の構造部分が主になり,これらの構造部分が直接または含酸素基などを介して互いに結合した構造をとっている.石炭は燃料として用いられるほか,乾留によって得られるガスは都市ガスや合成化学原料に用いられる.タールからは,ナフタレン,アントラセンなどのタール製品が得られる.コークスは燃料のほか,合成化学原料としても使用される.また石炭の液化,ガス化によって得られるものも,燃料や合成化学原料として有用である.1950年頃までは重要な合成化学原料であったが,石油化学の隆盛とともに石炭の化学原料としての価値は低下した.しかし近年石油資源の枯渇が叫ばれるようになってから,再びその存在が注目を浴びるようになり,石炭のガス化や液化の研究,またそれによって得られるものを原料とする化学反応の開発が精力的に進められている.

石炭液化🔗🔉

石炭液化 [liquefaction of coal] 石炭を適当な方法で分解し油状にすること.得られる油を石炭液化油(coal liquids)といい,ガソリンなどの燃料油や種々の合成化学原料に利用される.石炭液化の歴史は1910年代以来で古く,種々の工程が試みられてきた.基本的には次の3つがある.1)高圧水素化分解法.鉄などの触媒を用い,高温高圧(たとえば500℃,300atm)で水素と反応させて液化する.液化油は,軽油(沸点75〜270℃),中油(沸点270〜330℃),ピッチに分留される.軽油には種々の芳香族化合物が含まれている.2)溶剤処理法.コールタール系の高沸点の溶剤を用い,石炭の分解温度付近350〜450℃で加熱して抽出を行なう分解抽出法と,水素を共存させて分解抽出にともなって水素化分解あるいは水素化も行なう水素添加抽出法がある.3)乾留法.外気を遮断して石炭を熱分解すると,コークス,タール,ガスに分解される.液体燃料製造を目的とするためには,600℃前後の低温で乾留が行なわれる(低温乾留).

石炭液化油🔗🔉

石炭液化油 [coal liquids] →石炭液化

石炭ガス化🔗🔉

石炭ガス化 [gasification of coal] 石炭やコークスと酸素,水蒸気,水素との反応などによって石炭をガス化すること.実際にはガス化炉中で,これらの反応が複雑に組み合わさって,ガス化が進行する.究極的にはC+1/2O₂→CO,C+H₂O→CO+H₂(*水性ガス反応),C+CO₂→2CO(*発生炉ガス反応),C+2H₂→CH₄,CO+3H₂→CH₄+H₂O(メタン化反応)などで示されるように,H₂やC₁化合物(CO,CH₄など)を効率よく得るために行なわれる.また,合成ガス(COとH₂の混合物)を原料とする化学を*C₁化学といい,エタノール,エチレン,プロピレン,ガソリンなどが合成されている.石炭ガスを得るための石炭乾留もガス化の一方法である.

石炭乾留🔗🔉

石炭乾留 [英 coal carbonization 仏 carbonisation du charbon 独 Verkokung von Steinkohle 露 коксование угля] 空気を遮断して石炭を加熱分解すること.ガス,タール,コークスが生成する.石炭の乾留法には450〜700℃で乾留する低温乾留と,1000〜1200℃で乾留する高温乾留とがある.低温乾留では,石炭の不安定な部分が熱分解を受け,人造石油や無煙燃料(半成コークス)の製造などに適用できる.非粘結炭や弱粘結炭が使用される.一方,高温乾留はタールの生成量が低温乾留にくらべて低く,製鉄・鋳物用のコークスの製造,都市ガスの製造に適用される.原料は粘結炭であり,タールは芳香族分が多く,ガスは水素に富み,発熱量が高い.

石炭酸🔗🔉

石炭酸 [carbolic acid] =フェノール[1]

石鉄隕石🔗🔉

石鉄隕石 [stony iron, stony iron meteorite] 石質隕石と隕鉄の中間に位置する*隕石.ケイ酸塩鉱物とFe-Ni合金がほぼ等量含まれる.なぜ密度が大きく異なる相が共存するのかが問題で,分化した隕石の生成仮説(→エイコンドライト)上最も厄介な存在.

石墨🔗🔉

石綿🔗🔉

石油🔗🔉

石油 [英 petroleum 仏 pétrole 独 Erdöl, Petroleum 露 нефть] *原油およびその加工製品の総称.また*灯油の俗称.成分はおもに各種の液状炭化水素であるが,少量の硫黄化合物,酸素化合物,窒素化合物,ないし微量の有機金属化合物を含む.天然ガスを伴って産出することが多い.主として水成岩からなる母岩中で生成されたのち,砂層や砂岩などの地層に集積され,その上下は不透過性頁岩,粘土層などによっておおわれ,背斜ないしドーム状の地層構造をなす.石油の成因については無機説と有機説とがあり,いまだ十分明らかではないが,海や湖沼に繁殖した微生物が腐敗,分解し,地圧,地熱,細菌あるいは触媒の作用で石油になったという説が有力である.原油はこれを分留し,かつ化学的精製を行なって,ガソリン,灯油,軽油,重油,潤滑油などを製造する.

石油エーテル🔗🔉

石油エーテル [petroleum ether] 石油を蒸留して得られる沸点範囲40〜70℃の留分.主としてペンタンおよびヘキサンからなり,引火しやすい.エーテル,無水アルコールにはよく溶けるが,水には溶けない.工業ガソリンの一種で,溶剤として広く用いられる.

石油化学🔗🔉

石油化学 [英 petrochemistry 仏 pétrochimie 独 Petrochemie 露 нефтехимия] 石油および天然ガスを原料として,燃料・潤滑油以外の用途に用いる化学製品を製造する化学をいう.石油化学はスタンダードオイル社が重油熱分解の副生ガスからイソプロピルアルコールを合成したのが最初といわれる(1920).その後,多数の化学製品の合成法が開発され,1950年中頃から石油の大量生産に呼応して大々的に行なわれるようになり,石炭化学にとって代わった.すなわち,上記原料から誘導されるオレフィン(エチレン,プロピレン,ブテン)とBTX(ベンゼン,トルエン,キシレン)などを基礎原料とし,酸化をはじめ重合,アルキル化,水和,水素化,異性化,脱水素,脱アルキル,不均化などの反応を駆使して種々の化学製品(石油化学製品)を作り出す化学を石油化学とよんでいる.

石油化学製品🔗🔉

石油化学製品 [petrochemicals] 石油化学工業で生産される化学製品をいう.各基礎原料から誘導される代表的な化学製品は次のとおりである.1)C₂成分(エチレン):エタノール,エチレンオキシドとその誘導体,酢酸とその誘導体,塩化ビニル,酢酸ビニル,スチレンなど.2)C₃成分(プロピレン):2‐プロパノール,プロピレンオキシド,アセトンとその誘導体,アクリル酸,アクリロニトリル,グリセリン,エピクロロヒドリンなど.3)C₄成分(ブテン):2‐ブタノール(ブタン‐2‐オール),無水マレイン酸,テトラヒドロフラン,メタクリル酸メチル,ブタジエン,クロロプレン,イソプレンなど.4)BTX成分(ベンゼン,トルエン,キシレン):シクロヘキサンとその誘導体,アニリン,スチレン,ニトロトルエン,安息香酸,ジイソシアナトトルエン,テレフタル酸,無水フタル酸など.5)その他の成分:水素,硫黄,アンモニア,カーボンブラックなどの無機化合物,n‐パラフィンからの直鎖脂肪酸,直鎖アルコール,直鎖アルキルベンゼンなど.合成繊維,合成樹脂,合成ゴムのほとんどは,上記低分子有機化合物の重合による高分子系石油化学製品である.

石油コークス🔗🔉

石油コークス [petroleum coke] 石油の重質留分を高温で熱分解して得られるコークス.灰分が少なく,黒鉛化度が高いという特色があり,炭素電極,電動機用ブラシなどの製造原料として使用される.

石油樹脂🔗🔉

石油樹脂 [petroleum resin] 石油類の熱分解により生成する分解油留分を混合物のまま,フリーデル‐クラフツ型触媒を用いてカチオン的に重合(→イオン重合)して得られる熱可塑性樹脂.塗料,印刷インク,接着剤など広い用途が開発されている.重合にあずかる分解油留分の主役がC₅留分(ピペリレン,イソプレンなど)の場合と,C₉留分(スチレン同族体ならびにインデン同族体など)の場合の2種類がある.

石油ナフサ🔗🔉

石油ナフサ =ナフサ

石灰🔗🔉

石灰 [英 lime 仏 chaux 独 Kalk 露 известь] *酸化カルシウム(生石灰)の通称.石灰石(石灰岩)を950〜1100℃で焼いて製造する.広義には水酸化カルシウム(消石灰),炭酸カルシウム(石灰石)を含めた意味に用いられる.

石灰岩🔗🔉

石灰岩 [英 limestone 仏 calcaire 独 Kalkstein 露 известняк] 炭酸カルシウムCaCO₃を主成分とする堆積岩.鉱物としては主として方解石からなっている.炭酸カルシウムは化学的沈殿によるものもあるが,サンゴ,ウミユリ,石灰藻,貝類,有孔虫などの海生生物の殻や骨格に由来するものが多い.したがって,ふつうは化石を豊富に含み,地質時代のサンゴ礁がそのまま石灰岩の岩体として産出することもある.セメント材料として重要な資源で,石灰石はその通称である.熱変成を受けて再結晶した石灰岩は大理石とよばれ,石材として利用される.

石灰水🔗🔉

石灰水 [lime water] →水酸化カルシウム

石灰窒素🔗🔉

石灰窒素 [英 nitrolime, lime nitrogen 仏 chaux azotée 独 Kalkstickstoff 露 цианамид кальция] カルシウムシアナミドと炭素の混合物.小粒状または粉末状の炭化カルシウムを,窒素中で950〜1200℃に加熱して製造する.これは1900年代以来の空中窒素固定法である.   CaC₂+N₂→CaCN₂+C この反応で生成する石灰窒素は遊離炭素(β黒鉛)のため黒色を示す.CaCN₂はCa²⁺とCN₂²⁻(N=C=N²⁻,直線状,C-N1.22Å)からなる三方晶系結晶で,Ca-N2.46Å,密度2.36g/cml³,融点1340℃.石灰窒素の成分の一例を示すと,CaCN₂61.5%,遊離C13.1%,遊離CaO19.7%,CaC₂0.01%,Si1.1%,Al1.0%,Fe0.8%などである.石灰窒素中のカルシウムシアナミドは,土壌中の炭酸,膠質,さらに微生物の作用でH₂CN₂,尿素,アンモニアを経て硝酸態窒素となるので,有用な塩基性肥料である.またカルシウムを多量に含む(CaOとして約60%)ので土質改良作用がある.カルシウムシアナミドはまた,殺虫,殺菌,除草の効果もある.工業用として,チオ尿素,ジシアンジアミド,シアン化カルシウムなどの製造に用いられる.

石灰乳🔗🔉

石基🔗🔉

石基 [groundmass] 斑状組織の火成岩の*斑晶の間を埋める,斑晶よりも細粒の結晶やガラスの集合からなる部分.急冷により生成される.その化学組成は,急冷時の液体の化学組成を示している.

せっけん🔗🔉

せっけん [英 soap 仏 savon 独 Seife 露 мыло] 石鹸.広義には高級脂肪酸,樹脂酸,ナフテン酸などの金属塩の総称,狭義には脂肪酸のアルカリ金属塩をいい,それ以外の金属塩を金属せっけん(metallic soap)という.脂肪酸としてはカプロン酸からベヘン酸(炭素数5〜22)までが用いられる.アルカリ金属塩は水溶液中で一部加水分解され,アルカリは陽イオンとして,脂肪酸の長鎖アルキル基は陰イオンとして解離している.高い*表面活性を示し,表面張力を降下させて安定な泡を生じ,強い洗浄力をもつ.硬水中では水に不溶の金属せっけんとなって沈殿するのでこれらの効力が減殺される.臨界ミセル濃度以上ではせっけん分子は*ミセルを形成し,コロイド溶液となる.硬水でも使用できるせっけんを硬水せっけんというが,現在では主に合成洗剤に代わられている.せっけんの製法は,油脂を水酸化アルカリで煮て*けん化して得たせっけん素地に香料などを加え乾燥,成形する.金属せっけんの場合,遷移金属の塩は塗料の乾燥剤や酸化触媒に,またとくにアルカリ土類金属の塩はポリ塩化ビニルの安定剤として使用される.なお,水溶液中で長鎖アルキル基が逆の電荷をもって解離するものを逆性せっけん(invert soap)または陽性せっけん(positive soapcationic soap)といい,陽イオン界面活性剤がこれに相当する. ⇒界面活性剤

セッコウ🔗🔉

セッコウ [英 gypsum 仏 gypse 独 Gips 露 гипс] 石膏.化学組成はCaSO₄・2H₂O.単斜晶系.柱状または卓状.独特の矢羽根双晶.へき開{010}完全.モース硬さ2の標準鉱物.密度2.317g/cml³.白色,ときに灰,黄,赤,褐色.透明から不透明.絹ないしガラス光沢.条痕は白色.塩酸に溶け,水に少量溶ける.190〜200℃で焼セッコウが生成される.蒸発岩,頁岩,熱水鉱床などに産する.透明なものは透明セッコウ(selenite),微粒の雪白色の半透明集合体は雪花セッコウ(alabaster),繊維状のものは繊維セッコウ(satinspar)とよばれる.装飾品,ポルトランドセメントの凝縮遅緩剤,充填材に利用される.

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