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大型化石🔗🔉

大型化石 [megafossil] →化石

大きなカノニカル集団🔗🔉

大きなカノニカル集団 =グランドカノニカル集団

大きな特性関数🔗🔉

大きな特性関数 →熱力学特性関数

大潮🔗🔉

大潮 [spring tide] →潮汐

大森公式🔗🔉

大森公式 [Omori's formula] [1]浅い近地地震で,P波とS波の到達時刻の差(初期微動時間)t(s)と震源距離Δ(km)との関係を与える公式Δ=7.42tをいい,大森房吉が発見した.震央距離100kmくらいから500〜600kmくらいまでの範囲に用いられる.係数7.42km/sは地域によって異なる. [2]本震からの経過時間tとともに単位時間当たりの余震数n(t)の変化を表わす経験式n(t)=K/(tc)(Kcは定数).大森房吉が発見した.これを一般化したn(t)=K/(tc)p(pは定数)を改良大森公式という.

大森房吉 【おおもりふさきち】🔗🔉

大森房吉 【おおもりふさきち】 1868(明治1).10.30-1923.11.8. 福井市の生れ.1890年(東京)帝国大学理科大学物理学科卒業.1892年震災予防調査会の設立と共にその委員となる.1897年(東京)帝国大学理科大学教授,1906年帝国学士院会員,その間震災予防調査会幹事であった.大森公式を導き,大森地震計その他を考案して地震観測に革命をもたらし,各種建築物の震動計測,火山の調査などを行ない,地震学の発展に貢献した.

大域的対称性🔗🔉

大域的対称性 [global symmetry] →素粒子の対称性

大環式化合物🔗🔉

大環式化合物 [macrocyclic compound] 大環状構造をもつ有機化合物の総称.炭素のみの環をもつものには15員環ケトンである*ムスコンなどの大員環化合物(→シクロアルカン)がある.窒素,酸素,硫黄などのヘテロ原子が入ったものは,錯体を形成する多座配位子となるので大環状配位子(macrocyclic ligand)ともいう.大環状配位子にはヘテロ原子の種類と環のサイズにより,配位する金属種および酸化状態に選択性がある.酸素原子をもつ*クラウンエーテル類は,アルカリ金属やアルカリ土類金属のイオンを取り込みやすく,窒素をもつポルフィリンやサイクラム(1,4,7,11‐テトラアザシクロテトラデカン)などのアザクラウン(→クラウンエーテル)類は,硬い遷移金属イオンに親和性があり,硫黄を含むチオクラウン類は柔らかい遷移金属イオンに配位しやすい.これらの大環状配位子を合成する際に,金属イオンの*鋳型反応を利用すると好都合である.環状多座配位子の錯体の熱力学的安定度が非環状の類似配位子に比べ大きいこと,また錯体からの金属イオンの解離速度が遅いことを大環状効果(macrocyclic effect)という.

大環状効果🔗🔉

大環状効果 [macrocyclic effect] →大環式化合物

大環状配位子🔗🔉

大環状配位子 [macrocyclic ligand] →大環式化合物

大気🔗🔉

大気 [英 atmosphere 仏 atmosphère 独 Atmosphäre 露 атмосфера] 天体の表層をおおう気体.おもに惑星をおおう気体を指す場合が多い.木星,土星の大気は原始太陽系星雲を構成していた水素やヘリウムが惑星の表層に重力で捕捉された1次大気である.金星,地球,火星の大気は1次大気が消失した後に惑星内部からのガス放出で生じた2次大気と考えられている.地球の大気組成が金星(90%以上CO₂),火星(80%以上CO₂)と異なるのは生物活動の結果である.  地球大気は常に太陽から降り注ぐプラズマ粒子の流れ(*太陽風)にさらされているが,地球磁場に捕捉されたプラズマ大気との間にはっきりした境界面が形成されている.その内側を地球磁気圏とよぶ(→磁気圏).地球表面から高度約100kmまでは電気的に中性の気体分子からなる大気層が地球を球状におおっている(中性大気).大気組成(窒素78%,酸素21%,アルゴン1%,二酸化炭素0.03%,水蒸気約0.3%,ただし水蒸気の含有率はいちじるしく変動する)は,地表面付近における生成と消滅が大きい二酸化炭素と水蒸気を除いて,高度100km付近までほとんど一定である(均質圏).それより上空では分子量の小さい気体の割合が増す(非均質圏).高度25〜35km付近にオゾン濃度の大きな層があり,*オゾン層とよばれる.高度100〜400kmには*電離圏が存在する.  中性大気の主要成分は可視光線に対して不活性であるから大気は透明である.大気は,おもに微量成分と地表面による太陽放射の吸収によって加熱される.すなわち,地球大気には3つの高温部(地表付近,高度50km付近,高度500km付近)と2つの気温極小部(高度10km付近,高度80km付近)が存在する.地表付近の高温は地表面からの熱の供給によって,高度50km付近の高温はオゾンによる紫外線の吸収によって,高度500km付近の高温は酸素原子や酸素分子による紫外線の吸収によって生じる.気温分布は近似的に太陽放射による加熱率と熱放射(地球放射)による冷却率との平衡(放射平衡)によって決定される.高度100km以上では放射冷却の媒体(おもに二酸化炭素と水蒸気)が少ないので,平衡温度は1000℃以上になる.逆に高度10km付近と80km付近はその上下より加熱率が小さいので,気温の極小部が生じる.気温の極小部と極大部を境に,大気層を下から*対流圏*成層圏*中間圏*熱圏とよび,対流圏と成層圏の境界面を圏界面とよぶ.高度550kmより上空を*外圏とよぶことがある.  気圧測高法によって高度を測定する際の標準とするために,標準大気(standard atmosphere)とよばれる代表的な大気の鉛直構造が定められている.地上気圧1013.25hPa,地上気温15℃,11km以下の気温減率6.5℃/kmと定める.実際の大気では,水平方向に温度差が生じるために大気循環が形成される.大気循環は水平方向に熱を輸送するので一般に,局所的な放射平衡は成り立たない.天気の変化(雲と降水)はもっぱら対流圏内部で生じる.それより上空の大気循環は,成層圏,中間圏,下部熱圏を合わせた領域(高度10〜120km)で生じるのでそこを中層大気(middle atmosphere)とよぶことがある(→大気大循環→風). ⇒付録13(小冊子).

大気圧スプレーイオン化🔗🔉

大気圧スプレーイオン化 [atmospheric-spray ionization] →スプレーイオン化

大気イオン🔗🔉

大気イオン [atmospheric ions] 大気中に存在するイオン.大きさまたは易動度によって,小イオン・中イオン・大イオンなどに分類する.電子を陰イオンに含めることも多い.小イオンは分子1個程度からなり,地表に近い空気中の数は600〜700個/cm³程度で,陽イオンのほうがやや多い.中イオンは分子が1000個くらい,大イオンは数万個程度集まったものである.大イオンはランジュヴァン・イオンともよばれ,電荷をもたない中性核とともに凝結核のはたらきをする.煤煙や塵埃の多い大都会に多く,1cm³の中に数万個ある.大イオンがこのように多くなると,小イオンはずっと減って100個以下となる.大気の電気伝導率にはイオン数と同時に易動度も関係し,小イオンの多いほうが伝導率は大きい.大気イオンは放射線その他各種の原因による電離で生成される.

大気汚染🔗🔉

大気汚染 [atmospheric pollution] 人間や動植物に悪影響を与えるほど有害な物質が大気中に注入されること.狭い意味では,人間の産業活動の結果として煙突や自動車から排出される煤煙,窒素酸化物,硫黄酸化物などによって大気が汚染されることをいう.広い意味では,火山から排出される二酸化硫黄,杉花粉,黄砂などの自然現象も含む.近年,化石燃料の消費によって大気中の二酸化炭素の濃度が増加し,それが原因で気候が変化することが社会的に懸念されているが,悪影響が実証されていない現時点でこれを大気汚染というのは疑問である.  大気汚染は,排出される汚染物質の寿命によって汚染の地域的な広がりが異なる.*光化学スモッグなどは1日程度の寿命なので100km程度の範囲に止まる.上空まで拡散した二酸化硫黄や窒素酸化物はエアロゾルとなって数千kmも運ばれ,その後に雲に取り込まれて*酸性雨の原因になる.この場合は国境を越えた大気汚染を生む.フロンの寿命は100年程度であるから,排出量に応じて大気中のフロンの濃度が増加する.その一部が成層圏で分解して*オゾン層のオゾン濃度に影響を与えることが社会問題になり,現在では,国際条約によってフロンの使用が禁止されている.この場合の大気汚染はグローバルである.

大気‐海洋結合モデル🔗🔉

大気‐海洋結合モデル →気候モデル

大気科学🔗🔉

大気科学 [atmospheric science] =気象学

大気吸収(電磁波の)🔗🔉

大気吸収(電磁波の) [atmospheric absorption] 天体からの電磁波が,地球大気中のオゾンO₃,酸素O₂,窒素N₂,水H₂Oなどの分子,および酸素や窒素などの原子を解離,電離,励起して吸収されること.天体の高度が低くなるに従って大気の吸収量が大きくなるので,天体固有の吸収線と区別できる.*フラウンホーファー線のA線,B線はその例であり,地球大気線(telluric lines)とも呼ばれる.大気吸収量は一般に短波長の電磁波ほど大きい.また,地球大気は天体からの電磁波を吸収するだけでなく,高層大気中の太陽光による電離原子や解離分子の*再結合過程,電子衝突励起による禁制線,共鳴発光線などにより自らも*大気光として発光している(大気発光atmospheric emission).恒星固有の吸収線スペクトルも,恒星の内部からの電磁波を恒星表面大気中の分子,原子,電離イオンが吸収することにより生じるものである.

大気境界層🔗🔉

大気境界層 [atmospheric boundary layer] 地表面から高度1〜2kmまでの大気層をいう.その上空の大気層(自由大気)と性質が異なる点が多い.1)地表面摩擦の作用で風速が上空より弱くなり,風の乱れが大きくなり,風向が変化する(この性質に関して大気境界層のことを*エクマン層ということがある),2)地表面温度の日変化に応じて,気温や大気の密度成層の大きさがその上空より大きい,3)海陸風や山谷風のような局地風が形成される,などの特徴をもつ.

大気光🔗🔉

大気光 [airglow] 地球の大気の分子,原子が発する光.光学的にはオーロラと大差なく,スペクトルの輝線は強度以外はオーロラに似ている.ほかに多少の連続スペクトルも存在する.月のない晴れた夜の星明りとよばれる現象には,恒星の光や黄道光もまじっているが,大部分は大気光で,夜光(night airglownight glow)とよばれる.夜光は地球上どこでも見える.そのおもな原因は,昼間の日射で解離(電離)した分子,原子が夜になって再結合して発光するためと考えられている.発光層の高さは,OH帯(赤端から赤外部にわたる)が80km,ナトリウムの589.3nm線が95km,酸素の557.7nm線が100km,630.0nm線が250kmくらいとなっている.夜光の強さは一般に季節により,また時間によっても変化するが,その様相は輝線によっても異なり,とくに630.0nm線は太陽活動の変動と強い相関を示す.昼間の大気光を昼光(day glow)とよび,酸素の630.0nm線やナトリウムの589.3nm線は夜の10〜100倍くらいの強さになっている.また最外層では水素の輝線も強く,外から見れば大気光は地球を包んで光っていて,地球コロナ(geocorona)ともいう.

大気差🔗🔉

大気差 [refraction, atmospheric refraction, astronomical refraction] 気差天体大気差などともいう.大気中を伝播する光の屈折により天体の見かけの高度が真の高度よりも高く見える現象,またはその高度の差.大気差は光の波長,天体の高度と大気の密度分布できまる.地球表面の曲率や大気密度の局所的なゆらぎを無視した近似では,真の天頂距離をzとしてほぼtanzに比例する.比例定数は測定点の気温,気圧,大気の湿度などできまる.大気差は天頂ではほとんど0となるが,地平線方向では平均約35′の最大値をとり,この場合をとくに地平大気差という.

大気大循環🔗🔉

大気大循環 [general circulation of atmosphere] 惑星大気の(惑星に相対的な)大局的運動.気温の水平方向の変化によって生じる一種の熱対流で,すべての惑星大気に見られるが,大循環の構造は惑星によって異なる.大気組成,太陽からの距離,惑星の自転速度,自転軸の黄道面に対する傾き,地表面の形状などが大循環の構造を決定する.地球大気(地表面から高度120kmまでを占める部分)の大気大循環は2層に分かれる.対流圏(地表面から高度約10km)の大気大循環と中層大気(高度約10〜120km)の大気大循環である.  (1)対流圏.対流圏の気温は1年を通じて低緯度側で高温,高緯度側で低温の分布が維持される.このため,常に赤道付近で上昇,極付近で下降する*子午面循環が北半球と南半球にそれぞれ生じると予想されるが,実際は自転効果(*コリオリ力の効果)のために,それぞれの半球で3つの細胞状の子午面循環に分離している.また,それぞれの子午面循環に伴って東西方向に地球をとり巻く帯状流zonal stream(帯状循環zonal circulationともいう)が形成されている.低緯度の大気大循環を*ハドレー循環(貿易風はその一部をなす),中緯度の大気大循環をロスビー循環(Rossby circulation)とよぶ.高緯度の大気大循環はハドレー循環に似ているが,高緯度の面積が小さいので,中緯度の大気大循環の影響を強く受ける.ロスビー循環内の帯状流は西風で*偏西風とよばれる.偏西風は上空にいくほど強くなり,とくに強い部分はジェット気流とよばれる.対流圏の大気大循環は,高緯度と低緯度の気温差に起因するために,熱を高緯度側に運んで南北の気温差を小さくする作用がある.もし大循環が生じなければ,極と赤道間の温度差は100℃程度になるが,大循環が生じた結果,気温差は40℃程度に減少している.対流圏の大気大循環は,このほかに,大陸‐海洋間の気温差による*季節風が重なっている.とくに,日本列島はユーラシア大陸と太平洋の境界に位置しているので,季節風の影響を強く受ける.対流圏の気温分布は海面温度の分布に支配され,海面温度は風によって駆動される*海水大循環に支配されているので,2つの大循環は力学的に結合されている.それぞれの大循環は一定不変ではなくて,いろいろな時間規模の不規則な変動が存在し,年ごとの季節の不規則性(暖冬や寒冬など)や気候の変化をもたらす.  (2)中層大気.中層大気の気温分布はオゾンによる紫外線の吸収によってつくられており,季節によりいちじるしく変動する.夏至(南半球では冬至)の時期には,夏の極が高温,冬の極が低温になるために,夏の極で上昇,冬の極で下降するただ1つの子午面循環が生じる.これに伴って夏半球の中層大気中には東風が,冬半球の中層大気中には西風が卓越する.東風の時期には極を中心とした円形の渦が形成されるが,西風の時期には対流圏から上方に伝播する波動(プラネタリー波)の影響を受けるために,ゆがんだ形の渦になる.

大気潮汐🔗🔉

大気潮汐 [atmospheric tide] 外部から与えられる周期的な力によって励起される大気の波動.力学的には海洋の潮汐と同じものであるが,海洋潮汐を起こす原因が主に月と太陽の引力に起因する起潮力であるのに対して,大気潮汐を起こす原因は主に日射による大気(下層では水蒸気,成層圏ではオゾン)の加熱(浮力)である.天文潮から区別して,熱潮汐ということもある.海洋潮汐は浅水波の一種であるが,大気潮汐は内部重力波の一種であり,水平方向だけでなく,鉛直方向にも伝播する.海水の潮汐は海水位の変化で検出されるが,大気潮汐は地上気圧で検出される.大気にも天文潮はあるが振幅は非常に小さい.熱潮汐は,日射が1日周期で変化するにもかかわらず,気圧の半日周期の振幅のほうが倍程度大きい点が特徴.低緯度で卓越する.変化の大きさは1hPa程度.地上付近で励起された大気潮汐は上空に伝わって振幅が増幅されるため,高層大気中では波に伴う風でも検出される.

大気電場🔗🔉

大気電場 [electric field in the atmosphere] 大気中の電場.ふつうは地表付近のものをさすが,荷電粒子の多い*電離圏*磁気圏などにも存在する.地面の電荷や大気イオンによって生じる.気象電気的に静穏な日の平均値は100〜150V/mくらいで,上空ほど高電位になっている.相当大きな日変化があり,海上や極地ではグリニジ平均時の2〜4時に極小,18時ごろに極大がある.これは地球全体の雷雨活動度の変化と一致しており,雷雲中で分離した電荷が地面と上層大気とを通してほかの場所に拡がるのが原因と考えられている.陸上の日変化にもこの原因によるものが入るが,ほかの不規則な変化のほうがはるかに大きく,朝と夕方に大きくなり,その間に極小がある.この原因は地表付近の空気の混濁にあると考えられている.

大気ニュートリノ🔗🔉

大気ニュートリノ →ニュートリノ振動

大気の波🔗🔉

大気の波 [atmospheric wave] 大気中に存在してとくに気象学的に注目される波動現象をいう.空気の圧縮性による音波,大気中の密度成層による内部重力波,*コリオリ力による慣性波,コリオリ力の緯度変化が原因で生じるプラネタリー波(*ロスビー波)が基本的な大気波動であるが,2つ以上の復元力が組み合わされて独特の波動を形成する場合が多い.とくに興味ある現象としては,波立つ海面から発生する超低周波の音波,風によって山の風下側に発生する内部重力波(山岳波),偏西風の中に存在するプラネタリー波(波数の小さいものは超長波とよばれる),赤道上空だけに形成される赤道波(特殊なプラネタリー波,*ケルヴィン波など),気温の日変化によって生じる大気潮汐などがある.成層圏の風系は対流圏から上方に伝播する大気波動の影響を強く受けている.このような中立波(復元力によって生じる波)のほかに,流体力学的な不安定現象によって生じる気流の蛇行も大気の波(長波)に含めることがある.

大気の熱経済🔗🔉

大気の熱経済 [thermal economy of the atmosphere] 大気の熱収支ともいう.地球と外界(宇宙)との間の熱の出入の内訳.地球大気の外側に降り注ぐ太陽放射(日射)量のうち30%は反射される(反射の内訳は,雲20%,空気6%,地表面4%).残り70%は大気圏内に入り,物質に吸収されて熱に変化する(吸収物質の内訳は地表面51%,空気中の微量物質16%,雲3%).地表面に吸収された熱は,水の蒸発に伴う蒸発熱(23%),熱伝導(7%),熱放射(21%)の形で空気を加熱する.ただし,熱放射のうち6%は大気を素通りして外界に逃げる.したがって,残り45%と大気に直接吸収された19%の合計が大気の加熱に使われることになる.この合計64%は熱放射となって大気から外界に逃げる.このようにして平均的な熱平衡が成り立っている.

大気の熱収支🔗🔉

大気の熱収支 =大気の熱経済

大気発光🔗🔉

大気発光 [atmospheric emission] →大気吸収(電磁波の)

大規模渦近似🔗🔉

大規模渦近似 [large eddy simulation, LES] →乱流

大規模構造(宇宙の)🔗🔉

大規模構造(宇宙の) [large scale structure] 宇宙の大規模構造.銀河の空間分布には,連銀河,銀河群,*銀河団とよばれる階層構造が見られる(→銀河団).直径3000万光年,メンバー数3000個程度の銀河団が最大の構造と考えられてきたが,近年複数の銀河団がフィラメント状に連なった*超銀河団や,逆にほとんど銀河の存在しない宇宙空洞(ボイドvoid)など1億光年以上のスケールをもつ構造が発見された.このような構造を宇宙の大規模構造と呼ぶ.その様子は,多数のシャボンの泡の表面に銀河が分布し,泡がくっつき合ったところが銀河団・超銀河団で泡の内部の空間がボイドのように見えるため,宇宙の泡状構造とも呼ばれる.大規模構造の形成には*暗黒物質が関与していると考えられているが,詳細はまだ明らかでない.

大規模集積回路🔗🔉

大規模集積回路 [large scale integration, LSI] →集積回路

大気乱流🔗🔉

大気乱流 [turbulence in the atmosphere] 不規則的に変動する大気の流れ.野外の大気は風洞気流に比べて空間スケールが大きいので,*レイノルズ数が風洞気流に比べたら極端に大きくなり,流れは*乱流状態になる.地面から高度100m程度までの接地層内部の乱流,100mから1kmの大気境界層内部の乱流,それより上空の自由大気中の乱流に区別される.  接地層では,上空を吹く風(主風)の平均風速が地面近くで弱くなることが乱流を生み出す主要な原因である.したがって,乱流の強さは主風の強さに支配される.乱流の性質は,風洞気流内の格子乱流と似ているが,主風の鉛直シアー(剪断)のために一様等方性乱流ではない.慣性小領域(大きな渦からより小さな渦にエネルギーを受け渡される領域)がはっきり存在し,乱流エネルギーのスペクトルは周波数の−3/5乗に比例する.最大の乱流渦の大きさはほぼ高度に比例して増加し,中立成層の場合の平均風速の鉛直分布は対数則に従うことが知られている.ただし,地表面付近の大気成層の安定度によって平均風の鉛直分布は対数則から多少変化する.  接地層より上空の大気境界層内部では,水平方向の圧力勾配やコリオリ力などの影響が現われる.最大の渦の大きさが数百mで,高さに比例して大きくなる性質はなくなる.昼間は,地面が日射で加熱されるため,大気境界層内部は成層が熱的に不安定になり対流が生じる.そのため,大気境界層を対流混合層と呼ぶことがある.夜間は安定成層になり,昼間に比べて乱流エネルギーは著しく減少する.平均風速は,経験的にべき法則(高度の0.2乗程度)で近似される.  自由大気には地面効果が直接及ばない.自由大気中には,局所的な乱流と大気循環自身の乱流が存在する.局所的な乱流は,風速の鉛直シアーが局所的に大きくなって,ケルヴィン‐ヘルムホルツ不安定が起こる場合,内部重力波の振幅が大きくなって破波する場合などがある.これらの現象は晴天乱流(CATclear air turbulence)と呼ばれる.航空機が遭遇すると激しい振動をもたらす.  地球上のどの場所から気体を放出しても,気流に乗って地球全体に拡散するから,地球規模の大気循環も乱流と考えることができる.特に,中緯度帯では偏西風の傾圧不安定によって高低気圧が発生するが,これらの渦は変化はカオス的であり一種の乱流とみなすことができる.流れは地球表面に沿った成分が卓越するので,2次元的乱流に近い性質を示す.しかし,弱い鉛直流を伴うので厳密な意味では2次元ではない.理論的には準地衡風方程式で記述される.大規模な大気循環を地衡風乱流ということがある.

大循環🔗🔉

大循環 [general circulation] 惑星規模で見たときの惑星大気や水(地球では主に海水)の大局的な運動の総称で,それぞれ*大気大循環*海水大循環とよばれる.大気大循環は海面温度の分布に,また海面温度は風に影響される海水大循環に支配されているので,この2つは力学的には一貫したものである.それぞれの大循環は一定不変ではなく,さまざまな時間的規模の不規則な変動が存在し,年ごとの季節の不規則性(たとえば暖冬や冷夏)や気候の変化をもたらす.

大正準集団🔗🔉

大数の法則🔗🔉

大数の法則 [英 law of large numbers 仏 loi des grands nombres 独 Gesetz der großen Zahlen 露 закон больших чисел] 共通の平均値mをもつ確率変数の列{Xk}において,(X₁+…+Xn)/nn→∞でmに収束するとき,大数の法則が成立するという.この収束が確率収束(→確率変数)の場合は弱法則あるいはベルヌーイの大数の法則といい,概収束の場合は強法則という.強法則が成立すれば弱法則も成立する.たとえばX₁,…,Xnが互いに独立で有限の分散V(X₁),…,V(Xn)をもち,n→∞のとき    ならば弱法則が成立し,    ならば強法則が成立する.

大赤斑🔗🔉

大赤斑 [great red spot] 木星の南半球中緯度にみられる巨大なれんが色をした渦.1831年から現在に至るまで存続している.1665年から1713年にかけて大赤斑に似た斑点が断続的に観測されたが,1714-1830年の120年間にはまったく記録されていないところから,これが現在の大赤斑と同一のものかどうかは疑わしい.経度方向には小さな振幅で振動しているが緯度方向には全く動いていない.大きさは4〜10万kmの楕円形でそのまわりには種々の波動擾乱がみられる.赤外線観測から大赤斑頂上の温度がまわりより低いこと,流体の流れの方向が反時計まわりであることから,木星大気中の巨大な高気圧であろうと推測されている.木星にはこれ以外にも小さな赤斑のあることがパイオニア10号,ボイジャー1,2号,ガリレオ号の観測からわかっている.これらはいずれも大気中の渦であると考えられている.

大統一理論🔗🔉

大統一理論 [英 grand unified theory 仏 théorie de grande unification 独 große Einheitlichfeldtheorie 露 единая (объединяющая) теория] GUTと略記.1970年代前半ごろまでに,素粒子の電磁弱相互作用と強い相互作用はそれぞれゲージ群SU(2)×U(1)とSU(3)に基づくゲージ理論によって記述されることがしだいに明らかにされてきた.その後さらにこれらの理論を統一して単一のゲージ群に基づいた理論,つまり大統一理論を作る試みが行なわれている.強い相互作用と電磁弱相互作用の結合定数は*くりこみ群の方程式に従って変化するが,*漸近的自由性のため強い相互作用の結合定数がエネルギースケールの増加とともに減少するので,10¹⁵GeV付近で強・弱の結合定数が等しくなり,これより上のエネルギー領域では大統一理論によって記述されると考えることができる.最も簡単なGUTのモデルはジョージャイ(Georgi,H.)とグラショウのSU(5)モデル(1974)であり,そのほかSO(10),E₆などに基づくモデルがある.GUTから導かれる最も重要な予言は*陽子崩壊(10³¹年程度の寿命)であるが,それ以外に宇宙初期における*磁気単極子の生成,またCP対称性を破る相互作用を介してのバリオン数の生成などがある(→宇宙のバリオン数).SO(10)の理論ではニュートリノにきわめて小さな質量(≃me²/ΛGUT)を与える機構が知られている.  GUTのもつ理論的な問題は,理論の中に2つの大きく異なるエネルギースケールΛGUT(≃10¹⁵GeV)とΛ(≃10³GeV)が共存する点で,ΛGUT付近での理論のパラメターの微小な変化がΛ付近で理論に大きな変更が生じないかという疑問がある(*ゲージ階層性の問題).これを解決する試みとしては*超対称性を導入する方法が最も有望とされているが,さらに重力の相互作用まで統一する試みとして*超重力理論があり,この理論に基づいたGUTの模型もさかんに研究されている.  1980年代に行なわれた加速器エネルギー(約100GeV)での結合定数の精密測定によって,最も簡単なSU(5)大統一理論は正しくないことがわかった.これに対して,*超対称性を導入した大統一理論は実験結果とよい一致を示している.

大ハドロン衝突器🔗🔉

大ハドロン衝突器 [Large Hadron Collider, LHC] →クォークグルオンプラズマ

大バルクハウゼン効果🔗🔉

大バルクハウゼン効果 →バルクハウゼン効果

大偏差原理🔗🔉

大偏差原理 [large deviation principle] 共通の確率分布P(平均μ,分散σ²)をもつ互いに独立な確率変数{Xk}の和Sn=X₁+…+Xnをつくれば,n→∞においてMn=Sn/nμに収束し(*大数の法則),の(オーダー1の値に対する)分布は平均0,分散σ²のガウス分布に収束する(*中心極限定理).Ynのオーダーの大きな値に対する(いいかえれば,Snのオーダーnの値に対する)n→∞における漸近分布を与えるのが大偏差原理である.その分布の形はPによって異なり,*鞍点法などを用いる計算法が工夫されている.

大麻🔗🔉

大麻 [cannabis] インドアサ(Cannabis sativa)の未熟果穂.カンナビノイドと称する一群の化合物を含む.その樹脂状の抽出物はマリファナ(marihuana)として知られ,タバコと共に喫煙すると多幸感,解放感,幻覚幻視などの精神作用を示す.モルヒネの内因性活性物質エンケファリンと同様に,アナンタミドというカンナビノイドの内因性物質が見いだされている. ⇒幻覚剤

大陸移動説🔗🔉

大陸移動説 [英 theory of continental drift 仏 théorie de la dérive des continents 独 Kontinentalverschiebungstheorie 露 теория перемещения материков] 地球上の各大陸が,地質時代を通じて大規模な移動を行ない,相対位置を変えてきたという説.1912年にウェーゲナーは大西洋両海岸線の相似性,古気候学,古生物学などの根拠にもとづき,各大陸は中生代まで1つの巨大大陸をなしており,その後に分裂,移動して今日の形をとったと主張したが,移動を可能にする物理的機構が不十分なため,一般には否定された.1950年以後,*古地磁気学の研究結果を説明するために,大陸が移動するという考えが復活し,*海洋底拡大説を経て*プレートテクトニクスとして統一された.

大陸成長🔗🔉

大陸成長 [continental growth] 大陸を特徴づける花崗岩質地殻は海洋プレートの沈み込みによってのみ形成される.したがって,大陸はプレートテクトニクスが機能し始める以前の初期地球には存在せず,それ以後の地球史を通して出現し,総量を増加させ,現在では地表の30%を占めるようになった.増加パターンは非一様で,太古代に生産量のピークがあったと考えられている.初期大陸地殻の起源は,40億年前ごろ海洋中に多数出現したプレート沈み込み帯とその直上に発達した海洋性島弧で,カナダ北部の40億年前アカスタ片麻岩やグリーンランド,イスア地域の38億年前の礫(れき)岩中の礫などはこのような初期島弧破片の最古例と考えられる.これらの断片は沈み込む海洋プレートが融解してできた島弧マグマ由来の酸性‐中性のカルクアルカリ岩系火成岩類およびその変成岩類を特徴的に含む.島弧の火成活動に加えて海溝で*付加体が形成された結果,大陸縁辺が海側へ成長し,さらに初期島弧どうしが次々に衝突・合体して大陸地殻の面積が急増したと考えられる.そのピークは約27億年前で,このとき現存する35個の太古代安定地塊(craton)のほとんどが形成された. ⇒地球の歴史

大理石🔗🔉

大理石 [marble] 石灰岩が熱変成作用を受けて再結晶した粒状の方解石からなる岩石.商業的には研磨して美麗な石灰岩や苦灰岩も含まれる.装飾材や彫刻材に利用される.

大量絶滅🔗🔉

大量絶滅 [mass extinction] 多種類かつ大量の生物群が全地球規模で一斉に絶滅した現象.化石が多産する最近5.5億年間に少なくとも5回の主要な大量絶滅事件(オルドビス紀後期,デボン紀後期,ペルム紀/三畳紀境界(P/T境界),三畳紀/ジュラ紀境界,白亜紀/第三紀境界(K/T境界))がおきた.なかでも三葉虫やフズリナが絶滅したP/T境界事件および恐竜やアンモナイトが死滅したK/T境界事件が著名で,それぞれ古生代/中生代境界および中生代/新生代境界という主要な*地質年代境界が識別される根拠となった.いずれの境界においても海陸あるいは動植物を問わず広範囲で絶滅がおきており,生物圏(大気・海洋)の温度や組成の変化を含む大規模かつ急激な環境変化が直接原因とみなされる.環境変動の原因として小天体の落下衝突(K/T境界)などの地球外原因や,超大陸の分裂に関連した異常火山活動(P/T境界)などの地球内要因が推定されている.大量絶滅は,その直後に生態系の空白を作り出し,次に出現する生物群が多様な環境に急速に適応拡散する下地を用意することから,大局的には進化を加速するという意味をもつ. ⇒地球の歴史

大きさのオーダー🔗🔉

7(b) 大きさのオーダー →小冊子参照

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