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ムスカリン🔗🔉

ムスカリン [muscarine] ベニテングダケAmanita muscariaの有毒成分.テトラヒドロフラン環をもつ第4級アンモニウム化合物の総称.図に塩化物C₉H₂₀O₂NCl,比旋光度=+8.1°(c=3.5エタノール)を示した. 水酸化バリウム水溶液との煮沸,または腐敗によりノイリン(水酸化ビニルトリメチルアンモニウム)を生ずる.

ムスク🔗🔉

ムスク [musk] →香料

ムスケリシュヴィリの方程式🔗🔉

ムスケリシュヴィリの方程式 →特異積分方程式

ムスコン🔗🔉

ムスコン [muscone] 15員環ケトンで,油状の液体.沸点328℃.じゃこう(麝香,ムスク)の芳香成分である.左旋性.ラセミ体も合成された.

結び目🔗🔉

結び目 [knot] →結び目理論

結び目理論🔗🔉

結び目理論 [knot theory] 3次元ユークリッド空間R³(あるいは3次元球面S³)内の単一閉曲線を結び目(knotノット),その有限個の集合を絡み目(linkリンク)とよぶ.トポロジー的に互いに異なる結び目や絡み目を判別しこれらを分類することは3次元の位相幾何学の重要な問題である.このために,与えられた絡み目Liに対してある多項式を対応させる(tは多項式の変数).ここで位相的に同一の絡み目LiとLjには同じ多項式が対応するものとする.すなわち.この性質をもつ多項式を絡み目の不変多項式とよぶ.不変多項式で独立なものが多数存在すれば,その値を比較することによって位相的に異なる絡み目を区別できると考えられる.  絡み目の不変多項式は,3次元空間内の絡み目を2次元面上に射影して得た図形から特定の手続きで構成される.古くからアレクサンダー(Alexander,J.W.)による多項式が知られていたが,1985年になってジョーンズ(Jones,V.)はC*環の理論を用いて新しい多項式を発見し大きな衝撃を与えた.ジョーンズの多項式は統計物理学の*ヤン‐バクスター方程式の解に基づくもので,ジョーンズ多項式を拡張することにより各リー環とその表現Rに対し絡み目の不変多項式を構成することができる.これらは絡み目の量子不変量(quantum invariant)とよばれる.  1989年にウィッテン(Witten,E.)は3次元のチャーン‐サイモンズ・ゲージ理論の*経路積分から量子不変量が導かれることを示した.ウィッテンの構成は,2次元面上への射影を用いず3次元空間で直接絡み目の不変多項式を与える.

岩波理化学辞典 ページ 5071