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フェロモン🔗🔉

フェロモン [英 pheromone 仏 phéromone 独 Pheromon 露 феромон] 微量で動物の特定行動を誘起する物質の総称.特に昆虫の生殖や行動に関わる昆虫フェロモンが重要である.その機能によって性フェロモン,警報フェロモン,道しるべフェロモン等に分類される.カイコガの雌が雄を誘引する性誘引物質*ボンビコール*ブーテナントらが発見したのが最初である.フェロモンは空気を媒介して感覚器官を刺激するものが多いが,経口的に効くものもある.女王蜂の頭腺から分泌される女王物質(queen bee substance)のように雌蜂の生殖腺の発達を抑制して働き蜂にするような物質もフェロモンとよぶ.生体外に放出して動物の個体または社会行動や機能に影響を与える物質を一般にエクトホルモン(ectohormone)というが,フェロモンもこの一種である.

フェーン🔗🔉

フェーン [foehn] 山脈の風上側の斜面で降水により水分を失った空気が風下側に高温で乾燥した風となって吹きおろす現象.おろしの一種.風上側の上空の空気が風下側に吹き下りてくることもある(この場合は風上側で降水がないのにフェーンが生じる).もとはアルプスの地方風の名であったが,一般名として用いられる.日本では,日本海沿岸,山間の盆地などにしばしば高温をもたらす.1933年7月25日に山形の気温が日本の最高記録40.8℃になったのはフェーン現象によるといわれている.風上側の気温が非常に低い場合には,断熱昇温があるにもかかわらず,おろしが吹き出すと気温が低くなることがある.このようなおろしをボラ(bora)という.関東地方の冬の空風(からっかぜ)はボラに分類される.

フェン系列🔗🔉

フェン系列 [phene series] 2個以上の環に属する炭素原子を含まず,すべての炭素原子が分子周辺を形成する型式(*カタ縮環系)の縮合環芳香族炭化水素で,屈曲した縮環系をもつもの.たとえばフェナントレンやベンゾ[a]アントラセン(図)など.*アセン系列に対応する語.

岩波理化学辞典 ページ 4344