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大環状配位子🔗🔉

大環状配位子 [macrocyclic ligand] →大環式化合物

大気🔗🔉

大気 [英 atmosphere 仏 atmosphère 独 Atmosphäre 露 атмосфера] 天体の表層をおおう気体.おもに惑星をおおう気体を指す場合が多い.木星,土星の大気は原始太陽系星雲を構成していた水素やヘリウムが惑星の表層に重力で捕捉された1次大気である.金星,地球,火星の大気は1次大気が消失した後に惑星内部からのガス放出で生じた2次大気と考えられている.地球の大気組成が金星(90%以上CO₂),火星(80%以上CO₂)と異なるのは生物活動の結果である.  地球大気は常に太陽から降り注ぐプラズマ粒子の流れ(*太陽風)にさらされているが,地球磁場に捕捉されたプラズマ大気との間にはっきりした境界面が形成されている.その内側を地球磁気圏とよぶ(→磁気圏).地球表面から高度約100kmまでは電気的に中性の気体分子からなる大気層が地球を球状におおっている(中性大気).大気組成(窒素78%,酸素21%,アルゴン1%,二酸化炭素0.03%,水蒸気約0.3%,ただし水蒸気の含有率はいちじるしく変動する)は,地表面付近における生成と消滅が大きい二酸化炭素と水蒸気を除いて,高度100km付近までほとんど一定である(均質圏).それより上空では分子量の小さい気体の割合が増す(非均質圏).高度25〜35km付近にオゾン濃度の大きな層があり,*オゾン層とよばれる.高度100〜400kmには*電離圏が存在する.  中性大気の主要成分は可視光線に対して不活性であるから大気は透明である.大気は,おもに微量成分と地表面による太陽放射の吸収によって加熱される.すなわち,地球大気には3つの高温部(地表付近,高度50km付近,高度500km付近)と2つの気温極小部(高度10km付近,高度80km付近)が存在する.地表付近の高温は地表面からの熱の供給によって,高度50km付近の高温はオゾンによる紫外線の吸収によって,高度500km付近の高温は酸素原子や酸素分子による紫外線の吸収によって生じる.気温分布は近似的に太陽放射による加熱率と熱放射(地球放射)による冷却率との平衡(放射平衡)によって決定される.高度100km以上では放射冷却の媒体(おもに二酸化炭素と水蒸気)が少ないので,平衡温度は1000℃以上になる.逆に高度10km付近と80km付近はその上下より加熱率が小さいので,気温の極小部が生じる.気温の極小部と極大部を境に,大気層を下から*対流圏*成層圏*中間圏*熱圏とよび,対流圏と成層圏の境界面を圏界面とよぶ.高度550kmより上空を*外圏とよぶことがある.  気圧測高法によって高度を測定する際の標準とするために,標準大気(standard atmosphere)とよばれる代表的な大気の鉛直構造が定められている.地上気圧1013.25hPa,地上気温15℃,11km以下の気温減率6.5℃/kmと定める.実際の大気では,水平方向に温度差が生じるために大気循環が形成される.大気循環は水平方向に熱を輸送するので一般に,局所的な放射平衡は成り立たない.天気の変化(雲と降水)はもっぱら対流圏内部で生じる.それより上空の大気循環は,成層圏,中間圏,下部熱圏を合わせた領域(高度10〜120km)で生じるのでそこを中層大気(middle atmosphere)とよぶことがある(→大気大循環→風). ⇒付録13(小冊子).

岩波理化学辞典 ページ 2935