鋳型反応🔗⭐🔉振
鋳型反応
[英 template reaction 仏 réaction matricielle 独 Matrizen-Reaktion 露 матричная реакция]
2つの試剤のあいだの反応で,一方の試剤を金属錯塩に配位させると,他の試剤と反応して特有の生成物を選択的に生成する反応をいう.たとえば,アンモニアとアセトンの反応において,アンモニアをニッケル(Ⅱ)イオンに配位させてNi(NH₃)₆²⁺とし,これにアセトンを作用させると生成物(図A)を生成する.
しかし,アンモニアをニッケルに配位させないときは,アセトンとの間でタール状の高分子を生成する.このように,錯塩の中心の金属イオンが鋳型をつくるような役割をして,反応を選択的に進行させるので,しばしば特有の環状生成物をつくるのに利用される.たとえば,トリスエチレンジアミンニッケルの過塩素酸塩[Ni(NH₂CH₂CH₂NH₂)₃](ClO₄)₂とアセトンとの反応では,生成物(図B)とその異性体が生じる.またビタミンB₁₂などの複雑な化合物の合成でもこの方式による環の生成反応が利用される.

異極像🔗⭐🔉振
異極像
[hemimorphic form, hemimorphy]
結晶主軸の両端で互いに異なる形態を示す結晶をいう.主軸に垂直な対称面ならびに対称中心がないために結晶学的同価でない結晶面が現われる現象で,2,mm2,3,3m,4,4mm,6,6mmの8結晶族に出現する.この主軸は極性をもつことから,圧電性や焦電性が生じる.異極鉱Zn₄(OH)₂Si₂O₇・H₂Oの結晶形態はその代表例である.
岩波理化学辞典 ページ 263。