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近藤効果🔗🔉

近藤効果 [Kondo effect] 金属中でスピン磁気モーメントをもつ不純物(磁性不純物)による伝導電子の散乱が,低温で温度下降とともに対数的に増大する効果.磁性不純物を含む希薄合金(例:Cu-Mn)の電気抵抗が温度に依存して低温で極小をもつ現象の理論的解明の中で,近藤淳が見出した(1964).近藤は不純物のもつ局在スピンによる電子の散乱を,両者の間の交換相互作用(→s‐d相互作用)を摂動として計算し,相互作用が反強磁性的な場合,散乱の強さが温度の下降とともに対数的に増大することを示した.帯磁率などにも同様の異常が現われる.この効果は,局在スピンの量子力学的な運動と,伝導電子がフェルミ分布していることとの相乗効果として現われる.その後,低温では局在スピンと伝導電子の間に多体的束縛状態が形成されて局在スピンが消失すること,対数的異常はその前駆現象であることが明らかにされた.束縛状態が形成される目安の温度TKを近藤温度とよぶ.kBTKはほぼ束縛エネルギーに当たる.現在では,簡単な場合については厳密解が得られている.セリウム化合物などの局在スピンをもつ原子が高密度に存在する系も研究されている.

コンドライト🔗🔉

コンドライト [chondrite] 最も普通な隕石.その成因には不明な所が多い.コンドリュール(chondrule)とよばれる融点以上の温度から急冷されたケイ酸塩鉱物(主にかんらん石と輝石)から成る球状の物体(直径2〜10mm)の集積体のすき間を,微細な低温起源のケイ酸鉱物(通常は炭素の存在のため黒い)が埋めつくしている.この部分をマトリックス(matrix)という.2次的な熱変成の結果,Fe-Ni合金相とトロイライト(FeS)相が次第に優勢になり,かつコンドリュールとマトリックスの境界が不鮮明になる.  コンドライトの分類は,van SchumusとWood,J.A.(1967)の提唱による方式がひろく用いられている.これはFeの酸化還元状態によるE,H,L,LL,Cの5種のグループへの分類と,上記の熱変成の程度(弱い1から強い6まで)を併用するもので,たとえばE3コンドライトのようによぶ.  最も始原的かつ酸化的な炭素質コンドライト(carbonaceous chondriteC-chondrite)では,FeはFe²⁺としてケイ酸塩相に存在するだけでなく,Fe³⁺として磁鉄鉱(magnetite,Fe₃O₄)をも作っている.逆に最も還元的なエンスタタイトコンドライト(enstatite chondriteE-chondrite)では,Feはケイ酸塩中には存在せず,Fe-Ni合金とトロイライト中に集まり,その結果,ケイ酸塩は宇宙存在度を反映してエンスタタイト(MgSiO₃)だけになる.これらの中間に位置するH,L,LLコンドライトは,最もありふれたもので,そのため普通コンドライト(ordinary chondriteO-chondrite)とよばれる.  コンドライトの非揮発性元素の組成は,太陽系に固有の組成をよく保っているので,1960年代に,地球の全体の(不揮発性元素を除く)化学組成がコンドライトのそれに等しいとするコンドライト地球モデル(chondrite earth model)が提案された.現在,厳密なコンドライト地球モデルは捨てられてはいるが,地球化学的議論においてコンドライトが基準物質として占める地位は失っていない.  C1コンドライトの化学組成は,H,希ガス,C,N,O,Sなどを別にすれば,主成分から微量成分元素まで太陽大気の元素存在度と一致しているので,太陽系物質中で最も始原的で未分化な物質と考えられている.C1,C2コンドライトには多量の有機化合物が存在し,地球外での有機化合物の合成を示している.Cコンドライトからは,酸素をはじめいくつかの元素で同位体組成の異常が見つかり,太陽系の形成時に複数の超新星爆発の寄与があったことを示している.  なお,C1コンドライトはコンドリュールを含まない.この隕石のコンドライトへの帰属は,化学組成に基づいてなされた.

岩波理化学辞典 ページ 1859