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ガラス🔗🔉

ガラス [英 glass 仏 verre 独 Glas 露 стекло] 一般に*ガラス状態にある物質をいうが,ふつうはケイ酸塩ガラスをさす.*網状高分子であって,網目形成体(network-former)となる酸化ケイ素(SiO₂)の網目状構造の中に網目修飾体(network-modifier)あるいは網目修飾イオンといわれるアルカリ金属(Na,K,Li)やアルカリ土類金属(Ca,Mg,Ba)などが部分的に入って安定な構造をとる.*結晶化ガラスを除いて,規則性は網目のごく狭い距離にしかおよんでいない.網目形成体(イオン)は,Si以外にB,P,Ge,As,Vなどがあり,これらの酸化物と酸化ケイ素がいっしょになったホウケイ酸系ガラスなどがある.また,網目形成と網目修飾の両方の役割をする中間酸化物のイオンとして,Al,Ti,Zrなどがある.ガラスは,ほとんどの元素をその構造中に取りこむ性質があるため種類も多く,700以上ある.ガラスの性質は,組成によって大きく変化し,また加成性がほぼ成り立つ.比重は2.2〜6.3,ヤング率は5×10⁴〜9×10⁴MPa,線膨張係数は0.5×10⁻⁶〜20×10⁻⁶/K,屈折率は1.45〜1.96,比熱は0.12〜0.30cal/g・K,引張り強さは3.3〜8.1kg/mm²,モース硬さは5〜7である. [1]石英ガラス(quartz glass).シリカガラスともいう.シリカ(SiO₂)の網目状構造だけで,網目修飾イオンはない.純珪石を融解するか,SiCl₄の高温気相分解反応で合成する.軟化点は1500℃以上,膨張係数は5.5×10⁻⁷/Kで小さく,急熱急冷に耐える.耐食性は大きく,弾性性能も良好で,約200nmまでの紫外線を透過する.融解には1800℃以上の高温を要し,細工には酸水素炎を使う.光ファイバー用ガラス繊維,断熱タイル,電子素子用基板,熱器具材,化学器具材,紫外線透過用光学器具材,精密ばねなどに使用される. [2]ソーダ石灰ガラス(soda-lime glass).ソーダガラスともいう.一般の窓ガラス,びんガラス,容器ガラスとして使用される最もふつうのガラス.Na₂O・CaO・5SiO₂を中心とした組成をもつ.成分範囲(%)はSiO₂:65〜75,Na₂O:10〜20,CaO:5〜15,Al₂O₃:0.5〜4,MgO:0.5〜4,Fe₂O₃<2で,ソーダ灰,石灰石,珪砂を主原料とし,ドロマイト,アルミナを添加して,1400〜1500℃の温度で溶融し,1100〜1250℃で成形する.軟化点は500〜700℃,線膨張係数は10×10⁻⁶/Kである. [3]ホウケイ酸ガラス(borosilicate glass).ホウ酸とケイ酸が共重合した網目をもち,ケイ酸だけの場合にくらべてアルカリ金属が少なくてもガラス化が容易となる.ホウケイ酸低アルカリガラスは膨張係数が3×10⁻⁶/K程度で小さく,モース硬さは約7で比較的硬く,耐食性が大きいため,理化学器具用,医療器具用,薬品容器用などに好適である.硬質ガラスの高級なものを特殊な化学処理をして数nmの細孔をあけた多孔質ガラスは,ガラスフィルターとして分離・濾過などに使用される. [4]鉛ガラス(lead glass).鉛を含有し,屈折率が大きい.フリントガラス(flint glass)ともいう.*光学ガラス*クリスタルガラスとして用いられる.鉛のとくに多いガラスは放射線防護ガラスに使用される. [5]フッ化物ガラス(fluoride glass).酸素の代わりにフッ素を陰イオンとするガラス.酸化物に比べて赤外線の吸収が少ないガラスができる可能性があり,赤外線透過材料として研究されている.代表的なものは,ZrF₄を主成分とし,これにアルカリ土類金属のフッ化物と*f‐ブロック元素のフッ化物を加えたものである.  特殊な用途のガラスとしては,紫外線透過ガラス,乳白ガラス,各種の色ガラスなどがあるほか,電気的,磁気的な性質をもつ特殊なガラスも数多い.加工処理したガラスには,*板ガラス*安全ガラス*強化ガラス*ガラス繊維などがある.

岩波理化学辞典 ページ 994 でのガラス単語。