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[英 wind 仏 vent 独 Luft 露 ветер] 大気の流れ.ふつう,*風速*風向を用いて表わす.地上付近では,風向,風速とも絶えず不規則に変動している.このような変動を風の息といい,地上付近の風が乱流であるために生じる(→大気乱流).気象庁の発表する風向,風速は,観測時刻10分前から観測時刻までの平均を指すことが多い.風の変動には,このような乱流によるもののほかに,1)昼夜で風向の逆転する海陸風,山谷風などの局地風,2)温帯低気圧,台風,竜巻などの通過に伴って吹く風,3)夏冬で風向の逆転する季節風,4)平均すると通年して同方向に吹く偏西風,貿易風,ジェット気流などがある(→大気大循環).上空の風は*コリオリ力の影響を受けて等圧線に沿って吹くが,地表面付近での*大気境界層の内部では,地表面との摩擦の作用で風速は弱まり,高圧側から低圧側に向って吹く傾向を示す(→地衡流).  大気は安定な密度成層を形成しているため,鉛直方向の運動は妨げられ,風は水平に吹く性質がある.ただし山などの地形によって強制的な上昇気流が生じ,それが密度成層の効果で山の風下側に強風が吹きおろすことがある.これをおろし(颪,fall windkatabatic wind),おろし風,だしなどとよび,地方によって日高おろし,小保内だしなどの名がつけられている.これには*フェーン現象をともなうことが多い.なお,熱帯低気圧(台風やハリケーンなど),竜巻などの大気の渦も強い風の原因となる.

岩波理化学辞典 ページ 924 での単語。