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オゾン層🔗🔉

オゾン層 [ozone layer] 成層圏に存在するオゾン濃度の高い層.濃度が極大になる高度は20〜30kmであるが,緯度や季節によって変化する.オゾン層に含まれるオゾンの量は,0℃,1気圧の状態に換算すれば厚さ3mm程度で,大気組成としては微量成分に当たる.しかし,波長320nmより短い波長の紫外線を吸収する性質があるため,地球上の生態系を紫外線から保護しているといわれる.成層圏オゾンは,紫外線による光化学反応で大気中の酸素分子が酸素原子と結合して生成されるものであるが,一方では,オゾンを分解する反応や大気循環によるオゾンの輸送も存在するので,緯度や季節に応じた濃度分布になる.特に,冬季の南極大陸上空には極夜渦(きょくやうず)と呼ばれる低気圧性の渦巻が形成され,その中に閉じこめられたオゾンは分解反応のみが進行するので春先(10月ごろ)に濃度が著しく減少する.この現象をオゾンホール(ozone hole)という.オゾンホールは極夜渦の崩壊とともに消滅する.北極上空にも極夜渦が形成されるが,南極上空ほどオゾン濃度は減少しない.それは,オゾン分解反応が極成層雲(PSCpolar stratospheric cloud)の氷晶の上で生じるからである.北極より南極のほうが成層圏の気温が低くなるので,極成層雲が発生しやすい.近年,大気中に放出されたフロンガスが成層圏まで拡散して,そこで分解して遊離した塩素がオゾン分解反応の触媒として作用することが指摘され,オゾンホールの発見(1983)と重なって大きな社会問題になった.現在は国際条約によってフロンの使用は禁止されている.フロンによるオゾン層破壊の仮説を提唱したローランド(Rowland,F.S.)らは1995年度ノーベル化学賞を受賞した.

岩波理化学辞典 ページ 713 でのオゾン層単語。