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渦粘性🔗🔉

渦粘性 [英 eddy viscosity 仏 viscosité turbulente 独 Wirbelviskosität, scheinbare Zähigkeit 露 турбулентная вязкость] 過動粘性あるいは乱流粘性(turbulent viscosity)ともいう.流体の各部分が異なる速度で運動する場合,流体中の分子運動によって流体各部の運動量が交換されて速度が一様化される性質が粘性である.*乱流では流体の巨視的で乱雑な移動によって運動量の輸送が分子運動にくらべてはるかに大規模に行なわれるので,見かけ上粘性率が非常に大きい値をとる.これを渦粘性という.これに対してふつうの粘性を分子粘性(molecular viscosity)ということがある.平均流がx軸に平行でy軸方向に変化するような速度分布U(y)をもつ乱流で,渦粘性による応力(*レイノルズ応力)をτxy=−ρuv〉=ρεdU/dyで表わすとき,ε渦粘性率という.uvxおよびy方向の速度の平均値のまわりの変動を表わし,〈uv〉は両者の積の平均値を示す.ρは流体の密度である.εは分子粘性における*動粘性率に相当するものであるが,物質定数ではなくて,流れの中の場所により,また平均流速によって変化する.渦粘性を求める理論には,古くは*混合距離の理論があるが,最近は乱流の計算機シミュレーションの発達に応じて多数の理論が現われた.大気や海洋の運動を解析するときは,渦粘性は重要なはたらきをする.

岩波理化学辞典 ページ 412 での渦粘性単語。