熱力学特性関数🔗⭐🔉振
熱力学特性関数
[thermodynamic characteristic function]
物質の熱力学的性質を規定する関数.よく用いられるものは*内部エネルギーU,*エンタルピーH=U+pV,*ヘルムホルツ自由エネルギーF=U−ST,ギブズ自由エネルギー(Gibbs free energy,ギブズ・エネルギー,Gibbs energy)G=F+pVなどであるが,大きな特性関数とよばれるJ=F−G=−pVもときに用いられる.以上の特性関数はエネルギーの次元をもつが,*エントロピーSも特性関数として使われ,これと同じ次元をもつものとしては,マシュー関数(Massieu function)Ψ=−F/T,プランク関数(Planck function)Φ=−G/T,クラマース関数(Kramers function)q=−J/Tなどがある.これらの特性関数にはそれぞれ適当な独立変数,すなわち自然な変数(natural variables)があり,1つの特性関数が自然な変数の関数として与えられれば,熱力学の一般的関係式によってその系の熱力学的性質はすべて導かれる.自然な変数を用い,i種分子の*化学ポテンシャルをμiとしその物質量をniとすれば,それぞれ
dU=TdS−pdV+∑μidni,
dH=TdS+Vdp+∑μidni,
dF=−SdT−pdV+∑μidni,
dG=−SdT+Vdp+∑μidni,
dJ=−SdT−pdV−∑nidμi,
dS=(1/T)dU+(p/T)dV−∑(μi/T)dni,
dΨ=−Ud(1/T)+(p/T)dV−∑(μi/T)dni,
dΦ=−Hd(1/T)−(V/T)dp−∑(μi/T)dni,
dq=−Ud(1/T)+(p/T)dV+∑nid(μi/T)
と書ける.熱平衡条件と特性関数との関係は*最小仕事によって規定される.また特性関数は統計力学では*分配関数から計算できる.
岩波理化学辞典 ページ 3833 での【熱力学特性関数】単語。