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地衡流🔗🔉

地衡流 [英 geostrophic current 仏 écoulement géostrophique 独 geostrophischer Strömung 露 геострофическое течение] 水平方向の圧力勾配と*コリオリ力が釣り合っている流れ.その釣り合いを地衡流平衡(geostrophic balance)という.剛体回転を行なっている流体が(熱的または機械的な原因で)わずかに乱されると地衡流が発生する.この性質を地衡流調節(geostrophic adjustment)という.大気や海洋は地球とともに回転しているので,固体地球に相対的な流れは地衡流になりやすい(大気の地衡流は地衡風geostrophic windという).ただし,乱れのスケールが小さければコリオリ力より慣性力が大きくなるので,地衡流にはならない.その限界はU/fLで定義される*ロスビー数が0.1程度である.Uは回転系に相対的な流速,fはコリオリ因子,Lは現象のスケール.大気の高低気圧のスケールは総観規模(約3000km),風速は10m/s,f=10⁻⁴s⁻¹程度なのでこの条件を満たしている.そのため,北半球では,総観規模の反時計まわりの渦巻きの中心気圧は低く,時計まわりの渦巻きの中心気圧は高くなる(南半球では逆).完全に地衡流平衡が成り立つと流れは時間変化しないが,大気循環や海水循環はゆっくり変化している.そのような流れを準地衡流(quasi-geostrophic flow)という.

岩波理化学辞典 ページ 3145 での地衡流単語。