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太陽風🔗🔉

太陽風 [英 solar wind 仏 vent solaire 独 solarer Teilchenstrom 露 солнечный корпускулярный ветер] 太陽コロナから惑星間空間に放出されている希薄な超高速プラズマ流.地球軌道付近での平均的な速度は約450km/s,数密度は1cm³あたり5〜10個で,主として陽子と電子からなり,He⁺⁺その他も少量混在する.太陽風は惑星間空間を吹きぬけ,太陽から100〜200天文単位にまで達すると考えられており,太陽風のとどく空間を太陽圏とよぶこともある.太陽大気最外層のコロナが100万K以上もの高温であるため,コロナガスの圧力が高く,押し出されたプラズマが太陽重力を振り切って流れ出たものであって,コロナの一部とみなすこともできる.太陽風は太陽磁場の一部を伴っており,その強さは1天文単位では平均的に数nT(=γ)の程度である.太陽風中の磁場は太陽面上の磁場を起源とし,その極性は太陽面上の磁場の大規模なパターンを反映している.これを地球でみると太陽の自転(周期27日)とともに周期的に変化する.1周につき4または2のらせん状の磁場領域に分けられ,太陽風磁場のセクター構造(sector structure)とよばれている.この構造は太陽面上の磁場とともに,太陽周期に従って変化すると考えられている.太陽風の速度も一定ではなくて太陽自転に伴う変化がみられ,速度が600〜800km/sの高速流が知られている.この高速流はコロナの低温領域である*コロナホールと密接に関係するが,高速流の加速機構などはまだわかっていない.太陽面爆発などによっても太陽風は変動し,惑星磁気圏に擾乱をもたらす(電離圏嵐).太陽風の存在は1958年パーカー(Parker,E.N.)が理論的に予言し,また彗星の尾が太陽と反対方向にたなびくことからその存在が推論されていたが,1962年マリーナ2号の直接観測により確認された.またアポロがもち返った月の岩石表面にも太陽風起源と思われる粒子がうちこまれている.太陽風と同じものが他の恒星にも存在しており,星の進化に大きい影響を与えると考えられている. ⇒磁気圏

岩波理化学辞典 ページ 2982 での太陽風単語。