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大気汚染🔗🔉

大気汚染 [atmospheric pollution] 人間や動植物に悪影響を与えるほど有害な物質が大気中に注入されること.狭い意味では,人間の産業活動の結果として煙突や自動車から排出される煤煙,窒素酸化物,硫黄酸化物などによって大気が汚染されることをいう.広い意味では,火山から排出される二酸化硫黄,杉花粉,黄砂などの自然現象も含む.近年,化石燃料の消費によって大気中の二酸化炭素の濃度が増加し,それが原因で気候が変化することが社会的に懸念されているが,悪影響が実証されていない現時点でこれを大気汚染というのは疑問である.  大気汚染は,排出される汚染物質の寿命によって汚染の地域的な広がりが異なる.*光化学スモッグなどは1日程度の寿命なので100km程度の範囲に止まる.上空まで拡散した二酸化硫黄や窒素酸化物はエアロゾルとなって数千kmも運ばれ,その後に雲に取り込まれて*酸性雨の原因になる.この場合は国境を越えた大気汚染を生む.フロンの寿命は100年程度であるから,排出量に応じて大気中のフロンの濃度が増加する.その一部が成層圏で分解して*オゾン層のオゾン濃度に影響を与えることが社会問題になり,現在では,国際条約によってフロンの使用が禁止されている.この場合の大気汚染はグローバルである.

岩波理化学辞典 ページ 2937 での大気汚染単語。