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大環式化合物🔗🔉

大環式化合物 [macrocyclic compound] 大環状構造をもつ有機化合物の総称.炭素のみの環をもつものには15員環ケトンである*ムスコンなどの大員環化合物(→シクロアルカン)がある.窒素,酸素,硫黄などのヘテロ原子が入ったものは,錯体を形成する多座配位子となるので大環状配位子(macrocyclic ligand)ともいう.大環状配位子にはヘテロ原子の種類と環のサイズにより,配位する金属種および酸化状態に選択性がある.酸素原子をもつ*クラウンエーテル類は,アルカリ金属やアルカリ土類金属のイオンを取り込みやすく,窒素をもつポルフィリンやサイクラム(1,4,7,11‐テトラアザシクロテトラデカン)などのアザクラウン(→クラウンエーテル)類は,硬い遷移金属イオンに親和性があり,硫黄を含むチオクラウン類は柔らかい遷移金属イオンに配位しやすい.これらの大環状配位子を合成する際に,金属イオンの*鋳型反応を利用すると好都合である.環状多座配位子の錯体の熱力学的安定度が非環状の類似配位子に比べ大きいこと,また錯体からの金属イオンの解離速度が遅いことを大環状効果(macrocyclic effect)という.

岩波理化学辞典 ページ 2934 での大環式化合物単語。