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素粒子の対称性🔗🔉

素粒子の対称性 [英 symmetry of elementary particles 仏 symétrie des particules élémentaire 独 Symmetrie von Elementeilchen 露 симметрия элементарных частиц] 場の量子論において系のハミルトニアンを不変にする変換群が存在するとき,その変換群の生成演算子は保存される物理量を表わし,素粒子の散乱・崩壊における種々の選択則を導く.また変換群の表現に対応して素粒子が分類される.例えば時空の一様性(平行移動に対して不変),等方性(回転に対して不変)に基づきエネルギー,運動量および角運動量が保存される.すなわち素粒子は*ポアンカレ群の既約表現に対応しており,一定の質量とスピンをもつ.他方,量子電磁力学においてはゲージ対称性が電荷の保存を導く.  ポアンカレ群や量子電磁力学のゲージ変換においては変換のパラメターは時空の座標に依存しない定数である.こうした変換に対する不変性を大域的対称性(global symmetry)とよぶ.一方,変換のパラメターが時空点に依存するゲージ変換を局所ゲージ変換とよび,局所ゲージ変換のもとでの不変性を局所的ゲージ対称性(local gauge symmetry)とよぶ.局所的ゲージ対称性はゲージ場の存在を要請し,ゲージ場の相互作用を定める(→ゲージ理論).以上はいずれも変換が*連続群をなす場合であるが,空間反転(P),荷電共役変換(C),時間反転(T)などの離散的な変換も重要な役割を果たす.局所的な場の理論はP,C,Tを同時に行なう変換に関して不変であるが(→CPT定理),P,C,Tそれぞれに関しては不変性をもつ必然性はなく,実際弱い相互作用においてはPおよびC(さらに弱い割合でCPないしTも)が破れていることはよく知られている(→CP対称性).  *大統一理論に関係して注目されている対称性に*超対称性がある.これは上述の対称性を一般化したもので,フェルミ粒子の場とボース粒子の場の間にまたがって成り立つ.超対称性は*ワインバーグ‐サラム理論と大統一理論の間に生じる矛盾(→ゲージ階層性)などを解決する枠組を与えるとして期待されている.

岩波理化学辞典 ページ 2917 での素粒子の対称性単語。