クリプタンド🔗⭐🔉振
クリプタンド
[cryptand]
キレート配位子の一種だが窒素原子を*橋頭位にもつ2環式化合物の多座配位子をいう.クリプタンド錯体をクリプタートという.*クラウンエーテルと同様に金属イオンを包みこむような錯体をつくるのでギリシア語の‘隠す'(cryptō)にちなんで命名された.図のように配位原子としてNのほかにO,Sをもつものがあり,配位原子数も5から11におよぶ.
アルカリ金属イオンなど,錯体をつくりにくいイオンと安定な錯体をつくるが,安定度には金属イオンの半径が大きく影響し,ひずみの少ないキレートを与える場合が安定になる(例:[2.2.2]-K⁺クリプタートの安定度は,18‐クラウン‐6・K⁺の10⁴倍).生じた錯イオンは水よりも有機溶媒に溶けやすくなる.金属イオンのマスク剤(→マスキング)として化学分析の目的や,求核性,求電子性の試薬を有機相に導入する目的で用いられる.

岩波理化学辞典 ページ 1423 での【クリプタンド】単語。