気象学🔗⭐🔉振
気象学
[英 meteorology 仏 météorologie 独 Meteorologie 露 метеорология]
大気中の物理現象を研究する学問.歴史的には天気に関連した現象が研究対象であったが,20世紀後半から研究範囲が著しく拡大した.大気科学(atmospheric science)ということもある.さまざまな大気現象に対応して多くの専門分野に分かれている.大気循環に関連した分野としては,地球規模の大気循環を扱う大気大循環論,中緯度の高低気圧を扱う総観気象学,降水を伴う大気擾乱を扱うメソ気象学,大気境界層の構造や海陸風など地表面近くの現象を扱う局地気象学に分類される.熱帯気象学,極地気象学,海洋気象学などの地域的な分類もある.成層圏より上空の大気現象を対象とする高層気象学,大気循環の力学的側面を体系化した気象力学という研究分野もある.気象の物理過程を研究する分野としては,大気放射学(気象光学を含む),雲物理学,大気電気学,大気音響学がある.地球以外の惑星の大気現象を扱う惑星気象学も気象学の一分野である.ただし,大気の平均的な状態を扱う学問は気候学(climatology)と呼んで気象学と区別する.
大気の特徴は,スケールの異なる現象が同時に存在して複雑なシステムを構成していることである.その構造は*気象観測によって捕えられる.そのため,気象観測技術の進歩は気象学の発展に大きく寄与してきた.最近は計算機による大気循環のシミュレーションが可能になり,気象学の多くの分野で計算機シミュレーションを用いた研究が盛んに行なわれている.
岩波理化学辞典 ページ 1125 での【気象学】単語。