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気候モデル🔗🔉

気候モデル [climate model] 物理法則を用いて気候を説明する理論.簡単な理論から計算機シミュレーションまで,さまざまな気候モデルが考案されている.その中でもっとも簡単な放射平衡モデルは,地球に入射する太陽放射エネルギーと地球から放射される赤外線のエネルギーが等しいと考えるもので,日射の反射率(主に雲と極地方の氷床による)を30%とするとき,地球表層の温度として−18℃が得られる.この温度を放射平衡温度という.日射の反射率が温度によって変化する場合には放射平衡温度が2つの解をもつことがあり,それぞれを氷期と間氷期の平均気温に対応させる説明が行なわれる.  次に簡単なのは,緯度方向の気温の分布を説明するための1次元の放射対流平衡モデルである.日射量の緯度分布を与え,熱の南北方向の拡散を考慮して,気温の緯度分布を求める.  陸地と海面の放射収支を区別した2次元の気候モデルもある.1カ月間程度の平均の大気の状態(気温,降水量の分布)を再現するためには,上空における水蒸気の輸送と凝結を考慮したエネルギーバランスモデルが用いられる.このモデルでも熱の水平方向の輸送は拡散過程として扱われるが,実際の熱の輸送は大気循環によって行なわれており,大気循環はたえず変動しているために,大気循環を考慮するためには,計算機を用いた大気大循環モデルに頼らざるを得ない.10年より長い時間スケールの気候の変化を調べるためには,海面温度の変化も考慮しなければならない.大気と海洋は力学的に相互作用しているので,大気大循環モデルと海洋大循環モデルを結合したモデル(大気‐海洋結合モデル)が必要である.しかし,物理法則だけを与えた結合モデルによって現在の気候の分布を再現することにはまだ成功していない.

岩波理化学辞典 ページ 1117 での気候モデル単語。